小児歯科学雑誌
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小児における歯髄感覚の客観的検出法に関する研究
三輪 全三
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1981 年 19 巻 3 号 p. 478-488

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抄録
上顎中切歯に齲蝕がなく全身的にも健康で協力的な7歳から9歳までの男児4名女児11名計15名を被験児として,歯を微弱なパルス電流で刺激したときに得られる感覚と刺激的条件との関係を調べ,同時に誘発される頭皮上誘発電位(誘発脳波)および開口反射(咬筋抑制)と歯髄感覚との対応を検索し,これらの誘発反応が小児の歯髄感覚を検出する客観的な指標になり得るか否かを検討し次の結果を得た。
小児の歯を電気刺激して,弱い刺激で誘発されるのは痛みを伴わないpre-pain感覚である。刺激頻度1Hz,持続時間1msecまたは10msecのパルス電流でのpre-pain感覚閾値は同一被験児においてほぼ一定であった。
pre-pain感覚閾値は,平均加算された誘発脳波における初期陰性成分(N1)の出現閾値とほぼ一致していた。
pre-pain感覚閾値は,整流し平均加算された咬筋筋電図における抑制の初期相の出現閾値とほぼ一致していた。
以上のことより,歯髄電気刺激により誘発される脳波および咬筋筋電図における誘発反応は,小児の歯髄感覚の客観的判定基準として一つの指標になり得る可能性が示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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