小児歯科学雑誌
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乳臼歯の初期齲蝕の診断
-抜去歯における視診,X線診および電気抵抗値の関係-
荻田 修二山田 知博後藤 邦之黒須 一夫
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1981 年 19 巻 3 号 p. 570-577

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抄録

乳歯の齲蝕は永久歯と比べ,その進行はきわめて速く,かく広範囲に進行する。とくに,乳臼歯部の隣接面で早期に初期齲蝕を検出するのは非常に難しい。
先に著者らは,上下顎乳臼歯部の抜去歯を用いて,咬合面と平滑面における齲蝕侵襲範囲および程度の関係,咬合面における齲蝕の初発部位ならびに進行方向,平滑面におけるの初発部位などについて報告した。
そこで今回,乳臼歯隣接面部における齲蝕がX線診断によりどの程度侵襲が進行すると検出できるか,また電気抵抗値との関係はどうかについて検討を行なった。その結果;
1)視診とX線診との間では有意の相関関係が得られた。(γ=0.7915)
2)視診とX線診齲蝕進行程度の間でも有意の相関関係が得られた。(γ=0.7054)
3)視診と電気抵抗値の関係を検索したところ,咬合面,平滑面とも有意の相関関係が得られた。(咬合面:γ=-0.5559,平滑面:γ=-0.7307)
4)X線診から乳臼歯隣接面部の齲蝕侵襲程度を検索したところ,X線診と齲蝕侵襲程度の間に有意の相関関係が得られた。(γ=0.7922)

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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