抄録
先天性免疫不全症候群はBrutonが1952年にAgammaglobulinemiaと命名した一例を報告したに始まり, この一型であるDysgammaglobunemiaは, Type IをRosenが1961年に顆粒球の減少を伴う4 例を報告している.
本症の歯科領域における報告は,医科領域の報告に反復感染の頻発部位の一つとして口腔領域があげられているにすぎない.
今回我々は,本症の経過ならびに歯科治療の経験を得た.
1)検査データーとして白血球2800/mm3,好中球0%, IgG260mg/dl, IgA35mg/dl, IgM380mg/dl, CRP 6+と増加を示した.
2)処置内容として局所麻酔下で乳歯4本の抜歯,全身麻酔下で乳歯14本,永久歯胚13本,腐骨の除去であった.
3)合併症として,局所麻酔下での抜歯後Septic shock, SIADHを併発した.
4)現在は口腔内に病変の再発はなく,義歯によるOcclusionの回復を今後の課題としている.