小児歯科学雑誌
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20 巻 , 1 号
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  • 佐々木 仁, 弘守 口修, 野坂 久美子, 甘利 英一
    1982 年 20 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上唇小帯付着位置と正中離開との関係,ならびに切除時期を知る目的で, 岩手医科大学歯学部小児歯科に来院した2~14歳の小児,計498名について小帯の付着位置の距離の測定を行った.
    1)付着位置の距離は,2~4歳(3.0~4.0mm),6~10歳(4.0~5.4mm)のそれぞれの年齢間で増加が著しく,4~6歳(4.Omm)ではほとんど変化がなく,11~14歳(5.3~5.8mm)以後では付着位置は一定してくるものと思われた.
    2)前歯部交換期の5~7歳児における上唇小帯の付着位置は,永久中切歯群と乳中切歯群の間に差はなかった.
    3)正中離開のあるものとないものでは,付着位置の距離は5歳児で離開のあるものの方が小さかったが,他の年齢群では有意差はみられなかった.
    4)付着位置の距離の分布状態は,2~7歳児において,乳中切歯群では2.1~6.0mmに,8~14歳児の永久中切歯群では3.1~7.0mmに分布し,永久中切歯群で高い位置に分布していた.
    5)上唇小帯の切除術は,低年令での施行はさけ,障害の程度を診査し,9~12歳頃まで経過観察し,その後切除するか否かを診断すべぎであると思われた.
  • 森主 宜延, 神田 光一, 徳留 隆子, 田中 千穂子, 井上 昌一
    1982 年 20 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    自閉症児と歯科医療についての報告は,その必要性が高いにもかかわらず非常に少ない.著者らは今回自閉症児を対象とした療育活動グループ“日曜学級”とともに歯科保健を実践する機会をえることができ,このような場で歯科保健を自閉症児に導入するのには,いかなる問題が存在し,いかなる方策をとるべきか検討し,次のような結果を得た.
    自閉症児の齲蝕罹患状況は健常児に比べ差は認められなかった.又家庭で実施されている歯科保健行動も健常児とほぼ同じであった.
    自閉症児の保護者には保健指導を受け入れる用意は既に存在していた.又保健指導には積極的に反応し,保健行動にも改善が認められた.以上の結果から,自閉症児に対する歯科保健指導の導入は充分な効果が期待できることが示された.
  • 西野 瑞穂, 内田 昭次, 今西 秀明, 宇野 桂子
    1982 年 20 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は萌出後間もない幼若永久歯エナメル質表面の,萌出後成熟の過程を明らかにすることを目的に行われた.
    被検歯は,11歳群,13歳群,18歳群の,矯正科を訪れた患者6名から得た無齲蝕第一小臼歯11本で,歯冠部を頬舌方向に切断し,厚さ約100μの薄切研磨切片とした.この試料を偏光顕微鏡法,顕微X線法,ならびにEPMAによる元素分析法により観察した.
    11歳群では,water封入により偏光顕微鏡で正の複屈折を示す層(表層約70μ)に一致して顕微X線豫にX線透過性の大な部分が認められ,air封入で正の複屈折を示す層(表層約100μに一致してEPMAでCa,Pの強度が6~7%減少していた.エナメル質最表層で負の複屈折を示した15~20μの薄層では,X線不透過像が観察され,Ca,Pの強度の減少も内層程大きくなかった.このことから,偏光顕微鏡で正の複屈折を示す層は,結晶の配向性が異なるためではなく,石灰化の不十分な未成熟層であることが明らかになった.13歳群では正の複屈折を示す層はその深さを減少した.18歳群では全層が負の複屈折を示し,Ca,Pの強度も一定でエナメル質全層の石灰化が完了していることを示した.
    以上の結果から,エナメル質表層は萌出後唾液成分等の影響を受け,まず最表層の石灰化が進行し,この石灰化の影響で徐々に内部の未成熟部分の石灰化が進行し,最終的には全層の石灰化が完了すると考えられる.
  • 熊坂 純雄
    1982 年 20 巻 1 号 p. 21-36
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本論文では,歯質中の微量金属とくにCd・Za・PbおよびCuについてフレームレス原子吸光法を用いて,ppbレベルの定量性について検討を行った.すなわち,Ca・Pの除去・各微量金属の分離のために多孔性陽イオソ交換樹脂Amberlite-200を支持体とし,揮発性溶液系による液体クロマトグラフィーを用い良好な分析結果を得た.
    さきに,西村は,フレームレス原子吸光法を検討し,微量金属の測定には,Ca・P等の共存イオンの干渉のため各微量金属の単離,一定の酸溶液を溶媒とすることの必要性を明確にした.さらに,進士は分離性の良い,操作を簡易化しうる塩酸・アセトン混合溶液を溶離液とする液体クロマトグラフィーを用いたフレームレス原子吸光法を提供した.
    今回,これをもとに,さらに分離・濃縮性の良い多孔性陽イオン交換樹脂Amberlite-200を用い,定量性の向上を計り,その精度を確認した.そして,実際に,人乳歯エナメル質・象牙質中の微量金属を定量し,平均値(μg/g)・標準偏差はそれぞれCd 0.83±0.558・0.30±0.222, Zn 176.43±32.894・127.53±14.708, Pb 13.85±10.227・26.34±22.440 およびCu 3.92±3.413・2.49±2.465を得た.
    その結果,この測定法が,ppbレベルの測定に極めて有効で,当初の目的である組織構造と対応した乳歯中の微量金属の検討を可能にすることを証明した.
  • 大内 宏文
    1982 年 20 巻 1 号 p. 37-66
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯の萌出に伴なう歯肉の上皮と固有層の形態変化を観察する目的で,3歳より12歳までの小児の歯肉45例を歯の萌出程度により4 Stageに分類し,超薄切片法およびプリーズ・フラクチャー法を用い観察,検討を行ない次のような結果を得た.
    1 歯の萌出が進むにっれまず細胞間隙の拡大が起こり,gap junctionなどの膜構造が不明瞭となり,ついで細胞膜の部分的崩壊そして細胞間接合装置の局所的な集積がみられ,最終的に崩壊するものと推察された.
    2 基底板は隣接細胞間隙が大きく離開した時期でも観察され, hemidesmosome の消失は口腔上皮と退縮エナメル上皮との癒合直前まで起こらなかったことから,癒合と同時に基底板やhemidesmosomeが急速に消失するものと思われた.
    3 有棘層上部, 穎粒層および角質層の細胞質中と細胞間隙に観察されたmembran ecoating granuleは,歯の萌出が進むにつれ,その数は急激に減少することが認められた.
    4 角質層は表皮に観察されるような角化は認められず,類角化であった.また角質層の細胞層の数は歯の萌出直前期において増加する傾向がみられた.
  • 福村 淑子, 木村 光孝, 古野 忠敬, 三箇 正人, 井手口 藎, 中尾 利夫
    1982 年 20 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1.著者らは,年齢および発生頻度において,比較的稀と思われる4歳2ヵ月,女児の〓歯間乳頭部に発生したEpulis fibromatosaの1例を経験した.
    2.本症例は,Non-odontogenic fibromaが歯肉に末梢性に出現し,Epulisの形をとったものと考えられる.
    3.病理組織学的所見では,膠原線維の著しい増殖を主体とした,良性の線維性腫瘍の像を呈しており,炎症所見はほとんど認められない.また,腫瘍内には神経線維は散見されなかった.
  • 千田 隆一, 千葉 桂子, 斉藤 峻, 真柳 秀昭
    1982 年 20 巻 1 号 p. 74-80
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは萌出方向に存在する歯が原因と思われる下顎右側第2乳臼歯の埋伏した5歳男児の症例に遭遇した.
    全身的及び歯科的に問題となる既往はない.下顎右側第2乳臼歯の未萌出以外,特に異常は認められない.X線写真から,下顎右側第2乳臼歯の歯冠上に歯牙様透過像が認められる.又,下顎右側第2小臼歯の歯胚は認められない.
    当該部歯肉を開窓し,歯冠上の歯を摘出した.Direct Bonding Systemによりbutton,bracketを装着し,arch wireを用いて下顎右側第2乳臼歯の萌出誘導を行った.
    摘出した歯の所見としては,円錐歯様形態を呈し,歯根は形成されていない.又 Retziusの発育条は著明に認められるが,新産線は認められない.
    本症例での歯冠上の歯を過剰歯と考えるより,下顎右側第2小臼歯の原基が第2乳臼歯歯冠の咬合而側に達した時,何らかの原因で残留したものとする方が自然で,その結果第2乳臼歯が萌出を障害され埋伏したものと考える.
  • 大塚 啓子
    1982 年 20 巻 1 号 p. 81-96
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の成長発育にともなって生ずる乳歯の咬耗と,乳歯列弓の形態とがどのように関連するのかを追求する目的で,乳歯咬合の初期と,永久歯への交換期に入る直前の乳歯咬合の後期の,二つの時期における咬合小面の増齢的形態変化を検討した.さらに,この二つの時期における乳歯列弓の垂直関係および水平関係との関連性について検討を行った.資料は,乳歯列期の正常咬合を有する小児50名より採得した経年歯列石膏模型である.その結果,次のような結論を得た.
    1.基準咬合小面の出現頻度は,経年的に増加し,上顎乳犬歯の近心切縁,遠心切縁,下顎乳犬歯の近心切縁,遠心切縁に有意の差が認められた.
    2.基準咬合小而の面積は,経年的に増加し,それらの面積変化は,歯冠形態の相違,筋出位置の状態,萌出順序などが関係していると思われた.
    3.咬合小面の出現頻度,面積,歯冠長径および歯冠長径の減少量には左右差は認められなかった.
    4.乳歯列弓の水平変化は,下顎乳犬歯の咬耗と関連があることが明らかとなった.
    5.下顎乳犬歯の咬耗の様相を観察することによって, 乳歯列の咬合状態を判定する目安となり,永久歯列との関連も予測できるものと考えられる.
  • 松本 好政, 前田 隆秀, 鈴木 克美, 武井 謙司, 高梨 登, 高橋 勉, 小倉 孝夫, 國分 正廣, 赤坂 守人, 深田 英朗
    1982 年 20 巻 1 号 p. 96-101
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科疾患を有しているにもかかわらず,非協力児や精神発達遅滞児などの心身障害児は,取り扱い上の困難性から通法下では,必要な治療が確実かつ安全に十分行なわれない事が多い.現在,Foxがmanegementの手段として,最後に提唱した全身麻酔を用いた集中歯科治療が多く導入され,守備範囲を拡げている.
    一方,これら心身障害児は,全身麻酔を適応するにあたり,通常児と異なり,種々な合併症を伴うことが多く,より細心な患者管理を要する.著者らは,術前・術中・術後の管理の一つである呼吸動態を動脈血ガス分析を用い評価している.しかし,術前及び術後における採血時に,しばしば患児が興奮・号泣などの情動変化を示すことが多く,その結果,呼吸数・一回換気量が変化し,分析値をそのまま患児のsteadyな状態が反映していないと思われる症例に遭遇することが多い.
    そこで今回著者らは,興奮及び号泣による換気変化が,どの程度血液ガスに影響を与えるかを知る目的で,全身麻酔下集中歯科治療を行なう患児のうち,呼吸器・循環器疾患を有さない精神発達遅滞児33名を対象とし,術前検査時の,動脈血採血前・採血時における呼吸数・一回換気景・興奮及び号泣の度合により3群に分類し,統計処理をしたところ興味ある2~3の知見を得たので報告した.
  • 堀田 大介, 松村 祐, 山田 正弘, 加藤 正憲, 黒須 一夫
    1982 年 20 巻 1 号 p. 102-109
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    最近開発された水硬性カルボキシレートセメント(UNIDENT)の乳歯歯髄への影響について幼犬13頭の乳歯48歯を用い,窩洞形成を行ない本セメントを填塞した.3日から4週の各期間飼育し薬殺した.試料は通法に従いセロイジン切片を作製,H・E染色後,検鏡した.経過日数および窩底最薄厚径と病理組織所見との関係について検索し,次の様な結果を得た.
    病理成績は,良好30例,概良16例,不良2例であり,不良例は窩底象牙質厚径30μ 以下の菲薄な症例のみであった.経日的には術後2週まで歯髄への障害がみられるが,術後4週では炎症性反応はほとんど認められなかった.露髄例の病理成績は3例中概良1例,不良2例であった.
    本セメントの歯髄に対する刺激性は比較的少ないと思われた.
  • 遠藤 公一, 坂井 正彦, 佐藤 田鶴子, 久野 吉雄
    1982 年 20 巻 1 号 p. 110-117
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,生後4か月目に受けた60Co-γ 線による放射線療法が,歯の形成および顔面諸組織の発育に影響をおよぼしたと思われる症例に遭遇したので報告する.患者は初診時年齢13歳7か月の女性で,生後4か月目に細網肉腫と診断され,約5500 radの60Co-γ 線照射による放射線療法を受けている.
    口腔内はHellman Dental age IV Aで,残存歯は〓である.〓には形成障害が認められ,すべての歯には盲嚢を認め,〓には約2度の動揺を認めた.また上顎左側前歯部歯肉唇移行部付近には,小指頭大の硬い膨隆を触知した.
    X線診査でも〓はすべて欠如していた.また,頭部X線規格写真の分析では中顔面部の高さ不足の所見を呈していた.
    石膏模型分析では上下顎とも狭窄縮小された歯列弓であることを示していた.
    歯の病理組織学的所見ではエナメル質の狭窄が観察され,またエナメル・象牙境から表層におよぶ明瞭な透過像が観察された.
    本患者は上顎前歯部の抜歯と同時に行った膨隆部の病理組織学的検査の結果,黒色腫と診断され免疫療法を施行中であるが,経過が良好であるため蕃美性の回復を主体とした義歯を製作,装着し,経過観察中である.
  • 犬塚 勝昭, 鶯塚 英雄, 黒田 純, 中村 博司, 渡部 洋三, 桑原 未代子, 河合 良明, 鬼頭 信秀, 黒須 一夫
    1982 年 20 巻 1 号 p. 118-130
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上顎20症例,下顎21症例を用いて,永久切歯の配列を正常,前傾,叢生の3群にわけ,切歯交代期に出現する前歯部の不正について,その要因がどこにあるのか比較検討し,次の結果を得た.
    1)永久側切歯が正常萌出した43例中,不正に移行した症例は13例みられたが,切歯萌出後,不正から正常に移行した症例は36例中2例しかみられなかった.
    2)乳歯および永久歯の切歯歯冠近遠心幅径総和は,正常に比べ,前傾,叢生の症例の方がわずかに大きい傾向にあった.
    3)乳歯と永久歯の切歯歯冠近遠心幅径総和の差は,上顎では正常に比べ,前傾,叢生の症例の方が大きい傾向がみられた.下顎では,正常に比べ,前傾,叢生の症例の方がわずかに大きい傾向がみられた.
    4)乳犬歯間幅径は,上顎では叢生,正常,前傾の順に,下顎では叢生,前傾,正常の順に大きい傾向にあった.
    5)乳犬歯間幅径の成長量は,上下顎とも正常,前傾,叢生の間で差はみられず,上顎で平均3.3mm,下顎で平均2.6mmであった.
    6)第1乳臼歯より前方部の生理的空隙総和においては,上下顎ともに正常に比べ叢生の方が小さく,両者の間に有意の差を認めた.また,霊長空隙のみにおいても,正常と叢生の間に有意の差を認めた.
  • 渡部 洋三, 犬塚 勝昭, 鶯塚 英雄, 黒田 純, 桑原 未代子, 鬼頭 信秀, 徳永 順一郎, 中村 博司, 佐久間 立明, 河合 良明
    1982 年 20 巻 1 号 p. 131-142
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    永久歯の萌出順序を観察するため,3ヵ月毎に採得した1607個の咬合模型で経年的観察を行った.観察症例は正常咬合31症例,不正咬合29症例である.その結果
    1)上下顎左右側を含めた28本の永久歯の萌出順序は,全症例においてまったく同一である症例はみられなかった.
    2)永久第1萌出歯の出現頻度は,下顎中切歯が46.7%,下顎第1大臼歯が45.0%みられた.
    3)第1大臼歯と中切歯の萌出順序では,1→6の型が30.0%,6→6の型が23.3%みられた.
    4)切歯群の萌出順序では,1→2→1→2の型が58.3%みられた.
    5)上顎側方歯群の萌出順序では,4→3→5の型が38.3%,3→4→5の型が20.0%,→5→6の型が15.0%みられた.咬合別では,正常咬合で4→3→5の型4 が多くみられ,上顎前突,上下顎前突では4→5→3の型がみられず,叢生では4→5→3の型が多くみられた.
    6)下顎側方歯群の萌出順序では,3→4→5の型が70.0%みられた.
    7)第2小臼歯と第2大臼歯の萌出順序では,第2大臼歯の方が早く萌出するものが,上顎では片側で2.6%みられ,下顎では片側で13.6%,両側で8.5%みられた.
  • 菊池 進, 上杉 滋子, 杉山 久, 関本 恒夫, 間下 喜一, 米山 博己, 野本 克夫
    1982 年 20 巻 1 号 p. 143-150
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回新たに開発された臼歯部充順用K-Gコンポジットレジン(TMM-Si3N4:鐘紡社)は,Bis-GMA系コンポジットレジンとは全く異なる構造をもち,アマルガムに匹適する機械的強度と歯質接着性を有する臼歯部充填川コンポジットレジンである.著者らは,日本歯科大学付属病院小児歯科診療室に来院した70名,乳臼歯105例にK-Gコンポジットレジンを充填し,2~5ヵ月の充填物の臨床的観察を行い,次のような結果を得た.
    1.窩洞形態別不快事項発現歯数は,窩洞総数105例のうち22例(21.0%)に認められた.
    2.充填物の不快事項は17例(16.0%)認められ,そのうち辺縁破折,体部破折,脱落が大半を占めていた.
    3.充填物の磨耗は1級単純窩洞に16例中1例認められ,I 級複雑窩洞及びII 級窩洞には認められなかった.
    4.充填物の間隙および変色は1例も認められなかった.
    5.歯質の不快事項は6例(5.7%)に認められ,二次カリエスが大半を占めていた.
    6.歯髄・歯肉の不快事項は4例(3.8%)認められた.
    このような結果から,K-Gコンポジットレジンは,従来のアマルガムが持つ欠点を補い乳臼歯の充填材料として高い臨床的価値を持っものと思われる.
  • 広瀬 永康, 山口 和史, 田村 康夫, 吉田 定宏
    1982 年 20 巻 1 号 p. 151-157
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    咬合干渉が存在した場合, 小児咀嚼筋がどのような影響を受けるかについて検討を行った.被検児はHellmanのDental Age II A期の小児8名で, 下顎第二乳臼歯の左右いずれかに, 厚さ約 350μmの銀合金製Metal Overlay(MO)を装着し,MO装着前, 装着7日後,MO除去7日後の計3回, 筋電図記録を行った.筋電図は, 頭部後屈により誘発される緊張性頸反射時の活動電位を側頭筋前腹,咬筋より導出し, 干渉側と非干渉側とを比較検討し, 以下の結論を得た.
    1. 咬合干渉による不快症状は1名を除いて1日以内に消失し,疼痛を訴える被検児はいなかった.
    2. 咬合干渉の付与による筋の非均衡は5名に出現し, いずれも, 干渉側の筋活動が非干渉側より大きくなる傾向がみられた.
    3. 筋電図波形の等時性では,干渉側が非干渉側より早期に活動を開始する傾向がみられ, 筋群では咬筋にその傾向が著しかった.
    4. 咬合干渉による咀嚼筋への影響について咀嚼筋の筋活動の大きさと等時性の両者から判定した場合, 被験児8名のうち7名に影響がみられた.また, 咬合干渉の影響を受け易い小児とほとんど受けない小児とがあり個人差が認められた.
  • 近藤 義郎, 土屋 友幸
    1982 年 20 巻 1 号 p. 158-164
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    総合病院における小児歯科の実態を把握する目的で,昭和54年6月より56年2月までに新患として,トヨタ病院小児歯科外来を受診した小児を対象にして調査した.
    調査項目は,患児の年齢別,性別頻度,初診時の疹痛,腫脹,全身疾患の有無,ならびに処置内容である.その結果を要約すると,以下の様である.
    1)来院患児1255名中,男児603名,女児652名であり,平均年齢はともに5歳6カ月であった.
    2)初診時の疹痛は25.2%,腫脹は12.3%,全身疾患は27.9%に認められた.
    3)処置内容は,充填処置が最も多く64.0%であり,以下抜歯処置28.4%,予防処置24.1%,歯髄処置22.9%,感染根管処置18.8%,全部被覆冠処置13.1%,保隙処置9.2%,外科処置6.9%の順であった.
  • 秋山 育也, 天野 秀昭, 大西 雄三, 長坂 信夫
    1982 年 20 巻 1 号 p. 165-175
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,本学小児歯科外来受診者を対象に,X線診査による乳臼歯隣接面の齲蝕罹患状態を調査した.また,X線診査結果と口腔内齲蝕罹患状態との関係について検討し次の結果をえた.
    (1)乳臼歯隣接面の齲蝕罹患状態
    各歯面で,従来の報告に比べ高い齲蝕罹患歯面率を示した.とくに,下顎第一乳臼歯遠心面は,各年齢で最も高く,重症なものの割合いも高かった.上下顎とも第2乳臼歯近心面,第1乳臼歯遠心面では,増齢的に重症なものが増加を示した.
    (2) 視診,触診による検出率
    X線診査でエナメル質に限局する透過像を認めたものは,視診,触診による検出率が11.1%であった.重症なものほど高く, 象牙質1/2以上の透過像を示すものでは,71.4%であったが,上顎第1乳臼歯遠心面は,45.6%と低い検出率であった.
    (3)口腔内齲蝕罹患状態との関係
    dmft指数, dmfs指数とも, 隣接面齲蝕を有するものが高く, とくにdmfs指数は, 重症なものほど高い値を示した.上顎第1乳臼歯近心面では,dmft指数,上顎前歯部症(CBA ABC )dmfs指数とのあいだにも同様の傾向を示した.
    咬合面の齲蝕罹患状態は,上顎第1乳臼歯をのぞき,隣接面齲蝕が重症なものほど,咬合面が健全なものの割合いが減少し,C2,3のものが増加を示した.この傾向は,とくに上下顎第2乳臼歯近心面で強くみとめられた.
  • 岡本 潤子, 天野 秀昭, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1982 年 20 巻 1 号 p. 176-183
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,心身障害児の歯科治療が徐々に行われ,障害児の口腔健康管理の重要性が各方面で議論されて来ている.今回,我々は本学小児歯科外来における定期検査の実態と口腔管理状況を調査検討した.
    対象は本学小児歯科で治療後,定期検査に移行した3歳から6歳までの障害児200名(男児120名,女児80名)であり,年齢別,障害別に分類した.検討に際しては,治療後の管理効果を判定基準に硬組織疾患の変動をもちい,定期検査毎に行った.
    定期検査の受診率は6ヵ月間隔で4回調査した結果,各回とも90%以上であった.1人平均齲蝕発生本数は定期検査1回目2.38本, 2回目1.28本と2回目以降減少を認めた.
    処置内容としては1回目ではAg(NH3)2F処置,修復処置が同率を示したが,2回目以降では,修復処置が多くなる傾向にあった.
    処置の予後の検討においては,要再処置率は乳歯冠修復歯が21.9%と1番低く,その他においては約40%の処置を要した.その再処置内容としては,健全歯からAg(NH3)2F処置に移行した以外は,同じ処置で再治療を行ったものを多く認めた.
    年齢別,障害別からは大きな相違は認められなかった.
  • 安福 美昭, 森崎 市治郎, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1982 年 20 巻 1 号 p. 184-187
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Stevens-Johnson症候群は,原因不明の熱性発疹症の1つであり,いわゆる皮膚粘膜眼症候群のうち多型滲出性紅斑症候群に属する疾患である.本症例の男児は,7歳時に発症し,13歳の現在も大阪大学医学部付属病院眼科にて治療中である.12歳時に,左側下顎臼歯部(冷水痛の既往あり)精査を主訴として,本学小児歯科を受診した.初診時の口腔内診査では,広範な永久歯歯頸部の黄褐色の着色と軽度の歯牙形成不全,および〓をく除全歯牙に歯頸部齲蝕が認められた.しかし,本症候群に特徴的な口腔粘膜の病変はみられなかった.X線写真からは,〓を除く全永久歯に短根がみられた.本症例における短根歯の発現原因は,本症候群の発症と,それに伴なう何らかの機作による,歯根の発育障害あるいは成長の停止と考察された.
  • 武井 謙司, 山田 博, 松本 好政, 高梨 登, 小倉 孝夫, 前田 隆秀, 深田 英朗
    1982 年 20 巻 1 号 p. 188-194
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    先天性免疫不全症候群はBrutonが1952年にAgammaglobulinemiaと命名した一例を報告したに始まり, この一型であるDysgammaglobunemiaは, Type IをRosenが1961年に顆粒球の減少を伴う4 例を報告している.
    本症の歯科領域における報告は,医科領域の報告に反復感染の頻発部位の一つとして口腔領域があげられているにすぎない.
    今回我々は,本症の経過ならびに歯科治療の経験を得た.
    1)検査データーとして白血球2800/mm3,好中球0%, IgG260mg/dl, IgA35mg/dl, IgM380mg/dl, CRP 6+と増加を示した.
    2)処置内容として局所麻酔下で乳歯4本の抜歯,全身麻酔下で乳歯14本,永久歯胚13本,腐骨の除去であった.
    3)合併症として,局所麻酔下での抜歯後Septic shock, SIADHを併発した.
    4)現在は口腔内に病変の再発はなく,義歯によるOcclusionの回復を今後の課題としている.
  • 1982 年 20 巻 1 号 p. 195-235
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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