小児歯科学雑誌
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乳児検診時からの歯科保健指導とその効果について
森主 宜延松野 俊夫深田 英朗井上 昌一
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キーワード: 乳児検診, 歯科保健, 齲蝕
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1982 年 20 巻 3 号 p. 396-401

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抄録
乳歯齲蝕の予防には,乳幼児期に,母親を中心とした家庭へ,保育という観点から,強い動機づけをともなった歯科保健行動を導入させ定着させることが必要である.そのためには,数度にわたる指導が不可欠である.歯科保健指導の実施にあったては,妊婦教室,乳児教室,1歳6ヵ月健診,3歳児検診と連続的に組み立てられた既存の体系を利用することが最も現実的であろう.今回著者は,実際の乳児検診に参加しえた機会に,乳児検診の中へ歯科保健指導をいかに組み入れるべきか,それによってどのような効果をあげられうるかを検討した.1978年度,東京都杉並区西保健所において4ヵ月児を対象とした乳児検診に歯科保健指導を組み入れ,その後も1ヵ月から3ヵ月間隔で反復継続し,1歳6カ月健診時に,歯科保健指導を受けた回数別に,齲蝕罹患状況および歯科保健状況について比較検討し,次のような結論をえた.1)乳児検診時1回のみの指導では,充分な指導効果は得られない.3回以上の指導の継続が,有効な歯科保健指導には必要であることが示された.歯科保健行動のうち,食生活関係の頃目において,指導による改善の傾向が認められた.2)1歳6ヵ月時点における齲蝕罹患者群は総体的に歯科保健状況は悪い傾向を示し,とくに間食時の含糖食品摂取状況は,無齲蝕者群に比べて有意の差をもって劣っていた.3)乳児検診からの指導を継続しても,1歳6ヵ月時点までに指しゃぶりを脱習慣化させうる効果はなかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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