小児歯科学雑誌
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家族的に現われた部分的無歯症について
守口 修野坂 久美子甘利 英一
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1982 年 20 巻 4 号 p. 584-597

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抄録
外胚葉異形成を伴わず,父とその子供3名に出現した部分的無歯症の4症例を経験し,次のような結論を得た.
症例1(女子,13歳9ヵ月)は〓, 症例2(男子,18歳3ヵ月)は〓,症例3(女子,10歳9ヵ月)は〓,症例4(父,45歳8ヵ月) は〓の先天性欠如を認めた.また,萌出永久歯においては,同胞3名の上顎側切歯は矮小形を呈し,近遠心幅径が小さい値を示した.とくに多数歯欠如の症例1では,他の症例に比べてどの永久歯も非常に小さく,しかも上顎側切歯は栓状歯,上顎第1大臼歯は智歯様を呈していた.症例1は,上顎骨の劣成長による下顎の前方位と交叉咬合を呈していたため,上顎骨の側方拡大とchin capの併用を行った.症例3は保隙装置を製作し,咀嚼機能の回復をはかった.
部分的無歯症の成因は,その表現型から,常染色体優性遺伝と考えられ,とくに症例1では,妊娠中の母体の不良も,先天性欠如の促進因子になっていると思われた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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