小児歯科学雑誌
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歯磨剤の口腔細菌に対する抗菌性について
森 きよ子大槻 佳子北村 京一増田 典男祖父江 鎮雄
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キーワード: 歯磨剤, 抗菌性, 口腔細菌
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1982 年 20 巻 4 号 p. 618-624

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抄録

世界16ヵ国より蒐集した78種の歯磨剤の抗菌性ををS.mutans, Actinimyces 各2株,S.sanguis, S.salivarius, S.mitis各1株,計7株の口腔細菌を指標菌株として,ディスク法ならびに最小発育阻止濃度(MIC)値により比較した.その結果,約9割の歯磨剤に抗菌性が認められた.抗菌性の高い歯磨剤の多くには,Sodium N-Lauroyl Sarcosinate(SLS)が含まれていることがわかったが,SLS単独のMIC値から考慮するとSLS以外の例えば香料やその他の成分が抗菌性を発揮していると思われる.
歯磨剤溶液のpH値およびFイオン量はかなりの差が認められたが,いずれも抗菌性を左右する因子ではなかった.
各歯磨剤溶解液の固型成分(沈渣)の抗菌性についてもディスク法にて調べたが,抗菌性は全く認められなかった.同様に歯磨剤の熱処理(120℃20分間)と酸化(室温12時間)による抗菌性への影響をみた結果,熱処理では,抗菌性の低下はほとんど認められなかったが,室温放置により抗菌力の顕著な低下が認められた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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