抄録
齲蝕抑制剤として, フッ化物をヒトに適用する場合, 高濃度で少数回塗布する方法と低濃度で頻回に投与する方法が採られている.今回我々は,前者の方法で利用出来るフッ素剤として考案された(NH4)2MoO2F4, SrTiF6の齲蝕予防効果と進行抑制効果を,ラット実験系を用いて,酸性フッ素リン酸溶液およびAg(NH3)2Fをそれぞれ対照として検討した.その結果,(NH4)2MoO2F4およびSrTiF6はともにAPFと同程度の齲蝕予防効果を示した.また,両薬剤はともに38%Ag(NH3)2Fと同程度の齲蝕進行抑制効果も有することが示された.