小児歯科学雑誌
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咀嚼筋筋電図所見からみた乳歯列反対咬合の治療後の経過についての研究(1)
Burstの振幅の大きさからの検討
柴崎 貞二五十里 一秋大久保 一郎大竹 邦明小椋 正深田 英朗
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1983 年 21 巻 1 号 p. 66-81

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抄録
乳歯列反対咬合の12症例をチン・キャップによって治療した後,永久前歯〓〓〓萌出後まで経過観察を行い,正常被蓋であった7症例(グループI)と逆被蓋となった5症例(グループII)とを区別した。両グループの咀嚼機能の違いを知り,乳歯列反対咬合の治療後の予後の判定に役立てるため本研究を行った。
筋電図は,左右両側の側頭筋前部(TA),側頭筋後部(TP)および咬筋浅部(M)からガム自由咀嚼時および最大かみしめ時に記録した。そして,ガム咀嚼時の20 strokesと最大かみしめ時の5 strokesのburstsにおける最大振幅電位を測定し,活動電位の比率であるTP/TA値,M/TA値,さらに被検筋全体に対する百分率であるTA%,TP%,M%を算出した。これらのEMG値を正常咬合群と比較するとともに,グループIとグループIIとの間の違いを検討し,以下の如き結論を得た。
1.グループIの咀嚼筋活動様相は,グループIIに比較して,正常咬合群のそれにより近似している。
2.咬筋の活動が強い乳歯列反対咬合の治療後の予後は,良好と考えられる。
3.グループIにおけるTP/TA値およびTP%は,治療前に比較して治療後に増加し,定期検査時(治療後3~8ヵ月)に減少する傾向がみられる。一方,グループIIにおいては,それらは治療の前後で一様な推移をみせず,治療後から定検時にかけて増加する傾向がみられる。
4.以上のような結果は,乳歯列反対咬合の治療後の予後判定の一助となると考えられる。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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