小児歯科学雑誌
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21 巻 , 1 号
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  • 足立 守, 今村 基遵, 西堀 久美, 會田 栄一, 柴田 輝人, 黒須 一夫
    1983 年 21 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の乳歯根尖性歯周炎による後継永久歯胚の回避現象を検索するために,健全歯列を有する2~9歳の小児32名と,乳歯根尖性歯周炎を有する3~9歳の小児のオルソパントモグラムを,著者らが考案した計測基準を用いて計測,観察し,以下の結果を得た。
    1)健全歯列を有する小児の同一個体内における下顎第1小臼歯の位置の近遠心的および上下的左右差は1.16~1.34mm,0.50~0.63mmであった。下顎第2小臼歯のそれは1.08~1.31mm,0.62~0.83mmであった。
    2)先行乳歯の根尖性歯周炎による後継永久歯胚の回避は,74例中19例(25.7%)に認められ,年齢別では,4~7歳の小児に多く認められた。
    3)病的X線透過像の大きさが10mm以上の場合に,歯胚の回避が起きやすい傾向を認めた。
    4)後継永久歯胚の形成状態が歯冠形成段階の場合に,歯胚の回避が多く認められた。
  • 西野 瑞穂, 今西 秀明, 泉川 千香, 岩浅 幸子, 赤池 美可
    1983 年 21 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1歳6ヵ月児歯科健康診査を実施する際の総合的な口腔保健指導の参考に資するため,1歳6ヵ月児100名(男児61名,女児39名)の食事・間食記録表を分析した。
    その結果,栄養所要量に比較して男女児ともエネルギー摂取量はやや下回っていたが,蛋白質摂取量は上回っていた。1日平均牛乳摂取量が200ml以下のものが64%に達し,牛乳を摂取しない場合エネルギーの充足率が低かった。1歳6ヵ月児では,まだ牛乳以外の食品からのみでは栄養所要量を満たすことが困難と考えられるので,適切な指導が必要である。
    1日の摂取エネルギー量に対する間食からのエネルギー比が大きく,間食の補助食としての重要性が確認されるとともに,間食を補助食として適切に指導するためには,主食を含めた総合的食生活の検討が不可決であることが示唆された。
    間食時間を決めていないものが多いので,間食摂取の規律性の指導がとくに必要である。
    食品の嗜好状況については,1歳6ヵ月の時点ではそれほど嗜好の偏りはないと考えられる。
  • 稗田 豊治, 矢尾 和彦, 神原 修, 梶本 祐一郎
    1983 年 21 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小窩裂溝填塞材Teethmate,White SealantおよびDeltonの特性を知るために硬化時間,流れおよび滴下量を測定し,Teethmateについては平均年齢8歳10ヵ月の患児19名の上下顎大臼歯39歯を対象として1ヵ月間の臨床試験を行った.
    1)混和したレジンの流れた距離は,Deltonが最も長く,次いでTeethmate, White Sealantの順に短かくなることが判った.
    2)硬化終了時間は三者とも同様であったが,硬化開始時間はWhite Sealantが最も早く,次いでDelton, Teethmateの順に遅くなることが判った.
    3)滴下量はDeltonの場合は等量であるが,White Sealantではユニバーサル液が多くなり,Teethmateではキャタリスト液が多く出る傾向を認めた.
    4)1ヵ月間の臨床試験の結果,Teethmateの完全保持率は85%であったが,頬面溝を除外した場合は95%であった.5)口腔粘膜,歯肉への為害性は全く認められなかった.
  • 鈴木 康生
    1983 年 21 巻 1 号 p. 24-45
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    下顎永久前歯の萌出過程の様相をパノラマ断層X線写真から総合的に観察した.
    資料は,乳歯列期から混合歯列期までの小児85名からほぼ1年ごとに治療上の必要から撮影されたパノラマ断層X線写真である.その結果次のような結論を得た.
    1)歯胚形成量ならびに萌出率の年齢的変化は,男女とも永久中切歯,側切歯,犬歯の各歯種で暦齢を独立変数とした3次の回帰方程式で表わされるような変化を示した.このことから,下顎永久前歯ではその成長発育は時間的経過を追って一様に変化するものではないことが示唆された.また,中切歯と側切歯とは成長時期に約1年の差があるにもかかわらず両者の3次曲線はよく似た形を示した.
    2)下顎4切歯の歯胚の重なり度は,暦齢80ヵ月頃から漸次解消する傾向にあったこの重なりの解消には側切歯の動きがより関与していることがうかがわれた.
    3)歯軸傾斜角度は,中切歯,側切歯とも増齢に伴う大きな変化はみられなかった.
    4)先行乳歯根の吸収は,乳中切歯,乳犬歯ではそれぞれ後継永久歯の萌出とほぼ同時的に吸収が進むのに対し,乳側切歯では根吸収がやや遅れる傾向にあった.
    5)歯胚の捻転は,永久中切歯では出現頻度が少ない.側切歯では顎骨内で40~50%のものにみられたが,萌出に伴い漸次解消する傾向にあった.
  • 高梨 登, 高橋 勉, 瀬戸 孝子, 小倉 孝夫, 前田 隆秀, 深田 英朗
    1983 年 21 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Incomplete E.E.C. syndromeは,E.E.C. syndromeの3主徴である欠指症,外胚葉異形成,口唇口蓋裂の内の1つ,または1主徴の一部を欠く症例であり,その歯科的報告も少ない。
    我々は,右側口唇口蓋裂,拇指多指症,両側涙嚢炎を呈し,臨床所見よりincomplete E.E.C. syndromeと診断された症例において,歯科領域に現われた症状の観察並びに分析を行い,全身麻酔による歯科集中治療を施し,経過観察を行った結果,次のような結論を得た。
    1.永久歯では〓〓〓の先天的欠如が認められた。
    2.頭部X線規格写真の分析を行った結果,上顎骨の劣成長が顕著に認められるが,下顎の成長は正常範囲内であった。
    3.歯冠の形態においては,ほとんどの歯牙が重症齲蝕に罹患しているため,十分な判断が困難であったが,わずかに〓〓〓の歯冠形態から矮少の傾向がうかがえる。
    4.齲蝕の処置を行った後,咀嚼機能および審美性の回復を求めて,上下顎に小児義歯を装置したところ,咀嚼,発音,審美心理面に著しい改善を示している。
  • 五十嵐 公英, 千田 隆一, 猪狩 和子, 山田 恵子, 齊藤 峻, 真柳 秀昭, 神山 紀久男
    1983 年 21 巻 1 号 p. 52-65
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    施設内歯科診療の影響を評価するため,施設内診療室で治療が行なわれている肢体不自由児の齲蝕罹患状況を,施設内診療開始前後で比較した。同時に,全身麻酔下歯科治療の実態,術後合併症の頻度と発現時間について統計学的処理を行なった。
    その結果,1.施設内診療開始前後1年間で比較すると,歯科受診の実人数と乳歯,永久歯の処置歯率が増加した。2.施設内診療開始6年間の比較では,乳歯処置者率に経年的な増加傾向がみられた。3.脳性麻痺児の齲蝕罹患状況では,施設内診療開始2年目以降平担化した。4.全身麻酔は21人(23回)に応用され,その大部分が脳性麻痺児だった。5.全身麻酔時間は1時間,処置内容は永久歯の歯冠修復が多かった。6.術後合併症は咽頭痛が最も多く,嘔吐,口腔からの出血の順だった。7.術後合併症発現頻度と麻酔覚醒後の経過時間との間には,負の相関係数をもつ回帰直線が得られた。
    また,施設職員の齲蝕罹患状況の変化と歯石沈着の有無についても調査し,1人平均処置歯数の経年的増加傾向をみた。
  • 柴崎 貞二, 五十里 一秋, 大久保 一郎, 大竹 邦明, 小椋 正, 深田 英朗
    1983 年 21 巻 1 号 p. 66-81
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列反対咬合の12症例をチン・キャップによって治療した後,永久前歯〓〓〓萌出後まで経過観察を行い,正常被蓋であった7症例(グループI)と逆被蓋となった5症例(グループII)とを区別した。両グループの咀嚼機能の違いを知り,乳歯列反対咬合の治療後の予後の判定に役立てるため本研究を行った。
    筋電図は,左右両側の側頭筋前部(TA),側頭筋後部(TP)および咬筋浅部(M)からガム自由咀嚼時および最大かみしめ時に記録した。そして,ガム咀嚼時の20 strokesと最大かみしめ時の5 strokesのburstsにおける最大振幅電位を測定し,活動電位の比率であるTP/TA値,M/TA値,さらに被検筋全体に対する百分率であるTA%,TP%,M%を算出した。これらのEMG値を正常咬合群と比較するとともに,グループIとグループIIとの間の違いを検討し,以下の如き結論を得た。
    1.グループIの咀嚼筋活動様相は,グループIIに比較して,正常咬合群のそれにより近似している。
    2.咬筋の活動が強い乳歯列反対咬合の治療後の予後は,良好と考えられる。
    3.グループIにおけるTP/TA値およびTP%は,治療前に比較して治療後に増加し,定期検査時(治療後3~8ヵ月)に減少する傾向がみられる。一方,グループIIにおいては,それらは治療の前後で一様な推移をみせず,治療後から定検時にかけて増加する傾向がみられる。
    4.以上のような結果は,乳歯列反対咬合の治療後の予後判定の一助となると考えられる。
  • 前田 隆秀, 赤坂 守人, 武井 謙司, 高梨 登, 吉田 恵子, 中島 一郎, 小倉 孝夫, 深田 英朗
    1983 年 21 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    先天異常を有する小児では,しばしば口腔領域にminor anomalyを伴うことがある。なかでもDown症候群の口腔領域におけるminor anomalyは数多く報告されている。その特徴の一つに矮小歯が挙げられている。しかし,異常歯を除いたDown症児の健全乳歯の大きさについての報告はなく,矮小傾向にあるか否か興味がもたれる。
    乳歯列期のDown症児における口腔領域のminor anomalyを明らかにすることは,小児期における本症候群の診断基準になり得ると考える。
    以上の観点より著者らは,標準トリソミー型と診断されたDown症児28名と対照として乳歯列期でいわゆる正常咬合を有する健常児94名の口腔模型より,計測可能な各歯牙を計測し,比較検討したところ次の結果を得た。
    (1)上顎切歯群;(1)上顎乳中切歯は,男女ともDown症児群は対照群に比し頬舌径,近遠心径で大きかった。上顎乳側切歯,上顎乳犬歯は,男女ともDown症児群の方が近遠心径で大きかった。
    (2)上顎乳臼歯群;上顎第一乳臼歯,第二乳臼歯は,男女とも頬舌径でDown症児群が対照群に比し小さく,近遠心径では逆に大きかった。
    (3)下顎乳切歯群;下顎乳中切歯は男児の近遠心径にのみDown症児群の方が対照群に比し大きかった。下顎乳側切歯,下顎乳犬歯は男女とも頬舌径,近遠心径ともに両群間に差は認められなかった。
    (4)下顎乳臼歯群;下顎第一乳臼歯は,頬舌径で女児のみDown症児群が対照群に比し小さく,近遠心径では,男児のみDown症児群が対照群に比し大きかった。下顎第二乳臼歯は男女とも頬舌径,近遠心径両群間に差は認められなかった。
  • 久芳 陽一, 小笠原 靖, 塚本 末廣, 吉田 穣, 沢熊 正明, 北村 勝也
    1983 年 21 巻 1 号 p. 87-93
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,新生児の下顎乳中切歯相当部歯肉にAAの先天性歯と腫瘤の生じた症例を経験した。先天性歯抜去後の9ヵ月を経ても腫瘤が残存し,しかも硬組織の一部露出をみたので切除し,病理組織学的に検索した。
    X線所見では,腫瘤部に米粒大及び小豆大の境界明瞭な硬組織らしき不透過像を認めた。
    病理組織学的には,腫瘤は毛細血管の豊富な線維性結合組織で多数の円形細胞浸潤を認め,骨様象牙質と思われる硬組織に層板状構造,細胞封入,及び細管構造を認めた。
    本症例はAAの先天性歯抜去後に残存した歯乳頭あるいは歯髄に連続する下方の組織内に象牙芽細胞の分化が起こり,骨様象牙質の形成が行なわれたのではないかと思われた。
  • 近藤 奈千子, 尾崎 正雄, 柴田 香, 手嶋 文史, 塚本 末廣, 吉田 穣, 金 晤煥, 白 秉周, 李 炳允
    1983 年 21 巻 1 号 p. 94-106
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    韓国(全州市)の小学校6年生177名と日本(福岡市)の小学校6年生217名を対象として,幼若永久歯齲蝕罹患に関する疫学的調査を行った。
    第1大臼歯,中切歯,側切歯12歯のDMFSとカリオスタット,アンケート調査をもとに,数量化理論を用いて齲蝕発生要因の追究を行ったところ以下の結果を得た。
    1.齲蝕有病者率,Rohrer指数において日韓学童間には有意差がなかった。
    2.DMFSと罹患型の比較によると,日本の学童に,有意差をもって臼歯部のみならず前歯部にまで波及した広範囲齲蝕が多発していた。
    3.両国学童間には,特に間食に関し差異が認められた。
    4.韓国学童の齲蝕多発にはおやつの摂取が,日本学童の齲蝕多発には飲料類の摂取が強く関与していた。
    5.両国学童のカリオスタットpH値の比較では,日本学童の方が特に低く,齲蝕になり易い傾向を認めた。
    6.日本学童において臼歯部のみに齲蝕を有していた者と,前歯部にまで齲蝕の波及していた者の間には,カリオスタットpHと間食の摂取状況に差異を認めた。
    したがって,福岡市学童の広範囲幼若永久歯の齲蝕予防には飲料類摂取に対する注意が必要であることをうかがわれた。
  • 松村 誠士
    1983 年 21 巻 1 号 p. 107-130
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    新しく開発された齲蝕活動性試験(カリオスタット)の判定結果が細菌学的な要因によってどのように影響されるか,また,本試験法が小児を対象に齲蝕活動性を知る上で有用であるかを検討し,次の結果を得た。
    1.S. mutansの5株をカリオスタット試験液に接種したところ,いずれも培養48時間後に試験液のpHは終末pH4.8(+2,黄緑)に低下した。しかし,乳酸桿菌を接種した場合のpH低下パターンは菌株によって異なった。他のレンサ球菌を接種した際,pHは終末pH5.2~5.5(+1,緑)に低下した。
    2. 59名の2歳より2.5歳の被験者を対象とした時,齲蝕歯数(def)とカリオスタットの判定結果(C.A.:Caries activity)との相関性(P<0.001)は,defとS. mutansが総生菌に占める割合との関係(P<0.05)や,defとS. mutansが総レンサ球菌に占める割合との関係(P<0.01)より高かった。
    3. 121名の1.5歳児を被験者としたときC.A.とdefは1.5歳,2歳,および3歳の時点でおのおのP<0.01で相関した。そして,1.5歳の時点でのC.A.はその後6ヵ月間の増加齲蝕歯数(△def)とP<0.05で相関し,2歳の時点でのC.A.はその後12ヵ月間の△defとP<0.01で相関した。
    4. 6歳児から15歳児の425名を被験者としたとき,C.A.と齲蝕重症度指数(CSI)は8歳児を除きP<0.05で相関した。さらに,年齢別のC.A.の平均値の変化は,年齢による平均CSIの変化とほぼ一致した。
    以上の所見よりカリオスタットは,小児の齲蝕活動性を判定する方法として価値があると思われる。
  • 河田 典雄, 鍋田 和孝, 今村 基遵, 河合 良明
    1983 年 21 巻 1 号 p. 131-139
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯列内の乳歯が咬合平面に達していない場合,これを低位乳歯と呼んでおり,好発部位は乳臼歯とされている。しかし,今回我々は初診時2歳4カ月の女児の下顎右側乳犬歯部に低位乳歯を認めた。口腔内はHellmanの歯年齢ではIC期で齲蝕はみられなかった。患歯には咬耗,触診による動揺もなかった。また,既往歴,家族歴に特記事項はなかった。この症例を約4年間にわたり経年的に観察し,組織学的検索をも行った。
    患歯は,年々その臨床的歯冠長が短かくなり,4年後には尖頭の一部しか見られないほどになったため抜歯した。抜歯前のX線写真では,歯根膜腔はわずかではあるが認められ,また,後継永久歯胚もあり,その左右差はなかった。抜去歯は根に異常が認められ,短かく,その面は粗〓であった。
    病理組織標本によると,歯冠象牙質に空隙が認められ,象牙細管の走向は不規則であった。歯根部ではセメント質の凹凸の激しい肥厚があり,歯髄も全体的に線維化しており,空胞も多く認められた。
    本症例は歯冠形成の途中で極めて局所的な障害が歯に加わり,歯の形成がある期間障害されたと考えられる。その後,歯根の形成はある程度回復し,冠歯は萌出したが,ある時期より顎骨内の定位置に留まり,周囲組織の発育に伴い,一見歯肉内に埋もれていくように見えた。
  • 河野 美砂子, 高橋 幸江, 野田 忠
    1983 年 21 巻 1 号 p. 140-146
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    比較的軽微な機械的刺激により,皮膚あるいは粘膜に水疱を生ずる先天性表皮水疱症は,稀な遺伝性疾患であり,その病型は多様である。中でも,皮膚及び粘膜に水疱を形成し,瘢痕治癒する型は歯科的な問題を含む。
    著者らは,新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来で,常染色体性劣性栄養障害型表皮水疱症の6歳の男児を観察し,治療する機会を得て,次のような所見を認めたのでここに報告する。
    1)全身的発育成長は遅延し,貧血も伴っていた。
    2)頭蓋骨の大泉門付近に骨化の遅延が認められた。
    3)上顎,下顎ともに発育が劣っている。
    4)高度の齲蝕罹患傾向を示している。
    5)乳歯,永久歯ともに歯の萌出遅延は認められず,永久歯の発育にも異常はない。
    6)永久歯におけるエナメル質の形成不全は認められなかった。
    7)口腔前庭は浅く,口蓋皺壁は消失していた。
    8)舌の口腔底への癒着及び運動障害が認められた。
    9)2%キシロカイン(約1/10万エピレナミン入)の局所麻酔による異常は認められなかった。
  • 小林 秀樹, 田村 章子, 河野 美砂子, 山口 政彦, 野田 忠
    1983 年 21 巻 1 号 p. 147-151
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科外来を訪れている小児が,どのような処置を必要とする齲蝕罹患の状態にあるかを知るため,来院患児の齲蝕の処置内容について調査し,検討を加えた。
    昭和54年9月4日より,昭和56年8月6日までの約2年間に新潟大学歯学部小児歯科外来を訪れた2000名の小児のうち,Hellmanの歯年齢IIAのもの635人について調査を行ない,検討を加えたところ,次のような結果を得た。
    1)上顎乳前歯部において,低年齢から抜歯および歯髄処置など高度な歯科的治療を必要とするものが多かった。
    2)上下顎乳臼歯部で,低年齢において齲蝕処置の必要のある歯が多かった。
    3)上下顎乳臼歯部を比較すると,歯髄処置および抜歯において下顎乳臼歯部の方が高い割合を占めていた。
    4)乳犬歯部については,処置の必要のある歯の割合が少なく,修復処置だけのものが多かった。
    5)各処置内容に左右差はなかった。
    6)個々の歯の修復処置および歯髄処置の占める割合は,増齢的に大きな変化がみられなかった。
    7)抜歯は,上顎では第1乳臼歯が第2乳臼歯に比べて圧倒的に増齢的な増加がみられるが,下顎では第1,第2乳臼歯とも高い増加傾向を示していた。
  • 斉藤 隆裕, 落合 伸行, 谷口 学, 堤 脩郎, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1983 年 21 巻 1 号 p. 152-157
    発行日: 1983/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    遺伝性乳白色象牙質(hereditary opalescent dentin)は象牙質の形成が特異的に阻害される疾患で,象牙質形成不全症(dentinogenesis imperfecta)とも呼ばれる。今回報告した症例は,3歳3ヵ月の男児で,骨形成不全症とは無関係に発症し,残存歯牙がそれぞれエナメル質の希薄と高度の咬耗を伴い,透明度の高い褐色でオパール様の独特な色調を呈し,しかも父,祖父,父方の伯父およびその長男と,明確な遺伝形態を示したため,エナメル質形成不全を伴った遺伝性乳白色象牙質と診断したものである。
    本疾患の特徴となっている咬耗は,全歯牙に認められた。歯髄腔の狭窄は,前歯部では明確でなかったものの,臼歯部で著明に認められた。
    抜去歯牙を用いて組織学的検索を加えた結果,エナメル質では,その厚さが薄く,小柱の数も少なく走向も不規則であり,象牙質では象牙細管の数が少なく,その走向も不規則であった。
    治療として,咬耗の抑制と咬合高径の回復を目的として,乳臼歯に乳歯冠を装着し,その乳歯冠をコーピングとしてオーバーデンチャーを装着した。現在,予後観察中である。
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