小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
Down症児の乳歯の大きさに関する研究
前田 隆秀赤坂 守人武井 謙司高梨 登吉田 恵子中島 一郎小倉 孝夫深田 英朗
著者情報
キーワード: Down症候群, minor anomaly, 乳歯
ジャーナル フリー

1983 年 21 巻 1 号 p. 82-86

詳細
抄録

先天異常を有する小児では,しばしば口腔領域にminor anomalyを伴うことがある。なかでもDown症候群の口腔領域におけるminor anomalyは数多く報告されている。その特徴の一つに矮小歯が挙げられている。しかし,異常歯を除いたDown症児の健全乳歯の大きさについての報告はなく,矮小傾向にあるか否か興味がもたれる。
乳歯列期のDown症児における口腔領域のminor anomalyを明らかにすることは,小児期における本症候群の診断基準になり得ると考える。
以上の観点より著者らは,標準トリソミー型と診断されたDown症児28名と対照として乳歯列期でいわゆる正常咬合を有する健常児94名の口腔模型より,計測可能な各歯牙を計測し,比較検討したところ次の結果を得た。
(1)上顎切歯群;(1)上顎乳中切歯は,男女ともDown症児群は対照群に比し頬舌径,近遠心径で大きかった。上顎乳側切歯,上顎乳犬歯は,男女ともDown症児群の方が近遠心径で大きかった。
(2)上顎乳臼歯群;上顎第一乳臼歯,第二乳臼歯は,男女とも頬舌径でDown症児群が対照群に比し小さく,近遠心径では逆に大きかった。
(3)下顎乳切歯群;下顎乳中切歯は男児の近遠心径にのみDown症児群の方が対照群に比し大きかった。下顎乳側切歯,下顎乳犬歯は男女とも頬舌径,近遠心径ともに両群間に差は認められなかった。
(4)下顎乳臼歯群;下顎第一乳臼歯は,頬舌径で女児のみDown症児群が対照群に比し小さく,近遠心径では,男児のみDown症児群が対照群に比し大きかった。下顎第二乳臼歯は男女とも頬舌径,近遠心径両群間に差は認められなかった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top