小児歯科学雑誌
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外傷を受けた幼若永久歯の予後に関する研究
生活歯髄切断法の臨床的経過について
石川 雅章宮新 美智世高松 美雅
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1983 年 21 巻 2 号 p. 161-168

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抄録

外傷により幼若永久前歯が破折した際処置法を選ぶにあたっては,その歯根の固有の発育を完遂させるという観点が重要と思われる。水酸化カルシウムによる生活歯髄切断法は,その有力な選択の一つと言えよう。そこで臨床症状,歯根形成状態などから,同法の適用と診断された35症例40歯について臨床的経過を観察した。
その結果,1)最終リコール時の判定は良好33歯,不良7歯であった。予後不良歯は経過2年未満に集中した。2)庇蓋硬組織(dentin bridge)は24歯に観察され,すべて良好例であった。3)受傷から来院治療までの期間が長くなると,特に3日以上経過すると不良例の占める割合が高くなった。4)歯冠破折状態と予後には明瞭な関係は認められなかった。5)半数以上の症例に根の伸長または完成を観察し,本法の本来の目的が果されていると思われた。

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