抄録
シーラントを小窩裂溝齲蝕の予防手段として用いるだけでなく,初期齲蝕の進行抑制手段としても応用し得るか否かを検討することを目的に,一連の研究を行なっているが,いままでに,初期齲蝕の認められる小窩裂溝にシーラントを填塞するのに先立って,GK-101液とスクラッチャーにより,小窩裂溝の清掃を行なうことの有効性をin vitroの実験により明らかにした。
今回は,これらのin vitroの実験結果を基にして,同手段のin situにおける効果を検討したところ,短期間(平均8.8ヵ月)の観察期間ではあるが,シーラントの保持率は100%であった。すなわち,われわれの考案した術式は,初期齲蝕の認められる小窩裂溝に対するシーラント填塞をより一層効果的にするものと考えられた。