小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
乳臼歯根管拡大後の形態変化に関する研究
第1報:下顎第2乳臼歯について
丸山 文孝野坂 久美子甘利 英一
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 21 巻 2 号 p. 215-223

詳細
抄録

我々は,下顎第2乳臼歯をin vitroで根管拡大し,1)拡大部位と非拡大部位,2)Perforation,3)根尖孔の開大について,観察を行い,根管拡大の限界について検索した。
資料は,岩手医科大学歯学部小児歯科所蔵の抜去歯のうち,根管治療がなされておらず,歯根の吸収が1/3以下の下顎第2乳臼歯66歯(264根管)を用いた。
実験は,根管内に墨汁注入した歯をstyle monomerで透明標本としたのち,reamingactionのみの拡大を行い(30~45号),上記項目について観察した。観察部位は,髄床底から根尖までを4区分し,水平的には,近遠心,頬舌側合計16区分について行い,はじめに立体的に観察したあと,マルトークリスタルカッターで連続横断切片とし,Micropromerにてさらに,追跡観察した。
結果:1)拡大部位は,近遠心壁に多く見られ,拡大号数を増しても頬舌側壁の拡大には,限界があった。2)遠心根管の歯冠寄り1/2で,拡大が少なかった。3)Perforationは,66歯中15歯,264根管中15根管に生じ,40号以上では,それ以下の拡大号数の約3倍の発生を示した。4)Perforationの部位について,根管内側のperforationは,根管口寄りであり,外側のものは根尖近くに生ずる傾向があった。5)拡大後に生じた根尖孔の開大は,264根管中60根管に見られ,どの拡大号数においても近遠心舌側根管の内側に多く,根尖より1mm以内に生ずるものがほとんどだった。以上よりperforationを考慮すると,器械的拡大は,35号にとどめるべきと思われた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top