小児歯科学雑誌
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ジアゼパム直腸注入鎮静下の歯科治療について
小出 武尾崎 貞宜黄 純徳有田 憲司中村 弘之河原 茂南郷谷 修奥田 正計稗田 豊治志田 享金子 敦美上田 裕船越 禧征
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1983 年 21 巻 3 号 p. 468-476

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抄録
ジアゼパムの静脈内投与は効果が迅速で強力であることから歯科治療時の鎮静法の一つとして頻繁に使用されている。しかし,心身障害児(者)や非協力的な小児を対象とする場合には静脈路の確保が困難な場合が多い。一方,直腸内投与は投与操作が比較的簡単で,強い鎮静効果を示すことから,このような非協力児に対しては有効と考えられる。
本研究は直腸内投与用ジアゼパム溶液を障害児(者)および非協力児35名,66症例に鎮静法として応用し,同剤の鎮静効果を判定した°
1.直腸内への投与は容易で,平均1分1秒で投与を完了した。また,効果の発現時間のバラツキは少なく,平均8分42秒と短時間であった。
2.歯科治療時の鎮静度を客観的に判定したところ,著効が24.2%,有効が37.9%,やや有効が22.7%,そして無効は15.2%であった。
3.脳性麻痺児の不随意運動の抑制は著明であった。また,比較的理解力のある患児に対しては強い鎮静効果を認めた。逆に,健常児でも低年齢児で理解力が低い場合には鎮静効果は弱かった。
4.投与後に便意を訴え,さらに排便したものが認められ,帰宅途中に過半数がふらつきを訴えた。帰宅後は施術の翌日までむずかる,寝つきが悪いおよび食欲不振などを訴えるものを認めた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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