小児歯科学雑誌
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稀有なる双生癒合歯の2症例
栗原 洋一内藤 敏幸鈴木 伸之茶園 恵
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1983 年 21 巻 3 号 p. 508-514

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抄録

乳歯列中における癒合歯や双生歯についてはすでに多くの報告がみられるが,乳歯列中の3歯が癒合した症例は少ない。
今回,著者らは本学小児歯科部に来院した2歳9ヵ月の男児(症例I)と4歳8ヵ月の女児(症例II)に過剰歯を含め,3歯が癒合した双生癒合歯ともいうべき極めて稀れな症例に遭遇した。
家族歴:2症例とも同胞に歯冠形態の異常を認める。その他に特記すべき事項はない。
既往歴:症例Iは特記すべき事項はない。症例IIは母親が妊娠前期に十分な食品摂取ができなかった。他に特記すべき事項はない。
口腔内所見:症例IはBAと過剰歯の3歯が癒合している。すべての歯に齲蝕はなく,軟組織の異常もない。Bが舌側転位し,下顎乳前歯部は叢生を呈す。症例IIはCBと過剰歯の3歯が癒合している。また,BCも癒合している。すべての歯に齲蝕はなく軟組織の異常もない。前歯部被蓋は深い。
X線所見:双生癒合歯部の後継歯は,現段階では,症例Iは乳中切歯,症例IIは乳犬歯に対応する歯が観察されるのみである。症例IIの左側癒合歯の後継歯に欠如はない。
現在,経過観察中であり,将来脱落時には形態学的ならびに組織学的検索を行なう予定である。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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