抄録
2歳から9歳までの小児の乳前歯に用いられたコンポジットレジン冠87例について臨床観察を行った。観察日数は30日から最長1,480日で,平均496日である。
臨床観察の結果認められた各種変化としては冠の脱落5例(5.7%),冠の破損8例(9.2%),磨耗15例(17.2%),変色6例(6.9%),歯齦炎2例(2.3%)であった。
また交換期にいたり抜去した6例について,肉眼ならびに走査型電子顕微鏡を用いて冠縁の移行状態の観察を行った結果,冠縁の移行状態は必らずしも良好ではなかった。
コンポジットレジン冠は審美性に優れ,術式も比較的容易であり,ただ1回の来院で短いチェアータイムで装着することができ,しかもラボの操作を必要としない等,多くの利点を有している。またその臨床成績も良好であり,乳前歯に用いる審美的修復方法として適したものと思われる。