小児歯科学雑誌
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永久中切歯の萌出過程について
古屋 紀子高野 博子鈴木 千枝子田中丸 治宣町田 幸雄
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1983 年 21 巻 4 号 p. 756-767

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抄録

正常な永久歯列を有した小児40名について,2ヵ月間隔に印象採得して得られた累年石膏模型を用い,咬合面方向からみた永久中切歯切端の正中線に対する捻転度の変化並びに左右側乳犬歯を結んだ線から切端までの距離の変化を,出齦時から出報1年後まで計測した。そして乳中切歯脱落6ヵ月前の位置と中切歯の出齦後の動きについて比較検討を行った。その結果,上顎中切歯は乳中切歯のあった位置とほぼ同じ位置に出齦し,出齦時より出齦後6ヵ月までの間に著しい唇側への移動がみられ,出齦後1年間の移動量は左右側とも約2.5mmであった。下顎については乳中切歯のあった位置より約1.5mm舌側に出齦し,その後4ヵ月まで著しい唇側への移動を示すが,その後は緩慢となり一年間の移動量は上顎に比べて小さく約1.8mmであった。
正中線に対する中切歯切端の捻転度は,上顎中切歯においては出齦時,正中線に対してほぼ直角であるが,以後漸次減少し1年後には,左右側とも85度前後となる。一方下顎中切歯においては,出齦時は正中線に対してわずかに鈍角,すなわち逆ハの字型を呈しているが,以後漸次減少し,1年後には左右側とも90度前後となった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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