小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
1歳6ヵ月から2歳にいたる咬合状態及び口腔習癖の変化について
米津 卓郎大野 裕子大多和 由美町田 幸雄
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 22 巻 1 号 p. 200-206

詳細
抄録

1歳6ヵ月児歯科健康診査に訪れた小児のうち,ひき続き6ヵ月後の2歳児健診をも受診した707名の小児の咬合状態,口腔習癖の有無並びに種類等について調査した結果,以下の結論を得た.
1.今回調査を行った707名の小児の2歳時における咬合状態は,正常咬合373名(52.8%),不正咬合334名(47.2%)であり,1歳6ヵ月時に比べ不正咬合の発現頻度がやや高くなり,特に開咬の小児の増加が著明であった.
2.1歳6ヵ月時から2歳時までの間に,正常咬合から不正咬合に移行した小児は88名存在し,そのうち67名は開咬と過蓋咬合に移行していた.また,不正咬合から正常咬合に移行した小児は57名であり,それらの1歳6ヵ月時における咬合状態は,反対咬合16名(28.1%),開咬15名(26.3%),切端咬合11名(19.3%),過蓋咬合10名(17.5%)等であった.一方,不正咬合のまま移行した小児も,全て同一の咬合状態で移行したわけではなかった.
3.2歳時における口腔習癖の発現頻度は227名(32.1%)であり,1歳6ヵ月時に比べ約10%減少していた.習癖を種類別にみると,吸指癖の占める割合が79.8%と大半を占めていた.吸指癖は1歳6ヵ月から2歳へと継続する傾向を示し,1歳6ヵ月から2歳時の間に習癖を開始した小児の大半は吸指癖であった.
4.開咬小児のうち78.4%は吸指癖を有していることから,開咬と吸指癖には強い因果関係があるものと思われた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top