小児歯科学雑誌
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交換期における乳歯歯根吸収面の走査型電子顕微鏡的研究
木村 光孝内上堀 征人森高 久恵竹中 正史渡辺 尚海中村 聖中村 嘉明
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1984 年 22 巻 1 号 p. 26-35

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抄録
我々が日常臨床にたずさわるに際して,乳歯の歯根吸収のメカニズムの解明は必要不可欠な命題であるが,今だに解決されていない.そこで今回,我々はその一端を担うべく,走査電顕下に乳歯歯根吸収面の形態学的観察を行なった.実験材料は6歳から12歳相当までの歯根吸収期の乳前歯85本で,抜去後直ちに固定し,alcohol,isoamyl acetateを経て,自然乾燥後,Au coatingを行ない観察した.
吸収部のセメント質には吸収窩が10数個認められ,吸収窩は小さな円形で互いに重なり合って象牙細管開口部が突出し,類円形や樋状など様々な形に散見される.
吸収が遅延している部分では吸収面は平坦である.窩底は平坦でなく,浅い部と深い部とを認める.窩縁は明瞭に区別されている.
象牙質吸収面は大小不同の不規則な形態を示す吸収窩がみられる.吸収窩の境界は円弧状で,稜状に突出し,新しい吸収窩から古い吸収窩の方へ向かって突出して認められる.吸収窩が顆粒状物で被われているものもあり,吸収が遅延している部分では象牙細管の狭窄あるいは完全閉塞がみられる.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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