小児歯科学雑誌
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気管支異物(小児義歯破折片)の一症例
尾崎 正雄塚本 末廣吉田 穣
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キーワード: 誤嚥, 気管支異物, 小児義歯
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1984 年 22 巻 1 号 p. 406-411

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抄録
歯科領域において,修復物を脱落または義歯を破折させ誤嚥する例は少なくない.このような誤嚥事故は直接生命にかかわることもあり,口腔領域を扱う我々歯科医にとって重要な問題である.
今回我々は,小児義歯の破折片を誤嚥し,右気管支異物となって来院した症例を経験したので報告した.
1)患児は7歳男子で,転倒時,小児義歯を破折し,その破折片を誤嚥した.
2)母親は誤嚥を疑って患児を某外科医に受診させた.しかし同医院では,異物を発見することはできなかった.
3)翌日,小児義歯破折を主訴として当科に来院したが,聴診において呼気性雑音を聴取したので気管内への異物を疑い,耳鼻咽喉科を紹介した.
4)その結果,聴診とHolzknechtのsignにより右気管支異物と診断された.
5)義歯破折片の摘出は,全身麻酔下で気管支鏡を挿入し,ロバートの鉗子を用いて行われた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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