小児歯科学雑誌
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小児の咬合の機能的発達に関する研究(第3報)-Hellman の咬合発育段階IIAからIIICまでの咀嚼筋活動量について-
堀川 清一浜田 幸子大野 秀夫小椋 正
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1985 年 23 巻 1 号 p. 78-87

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抄録
今回,著者らは顎口腔系の機能の1つである,咀噛に関与する筋の機能的発達を解明し,小児歯科臨床へ応用することを目的として,いわゆる正常咬合を有するHellmanの咬合発育段階IIAからIIICまでの各10名,計50名を被検者として,左右両側の側頭筋前部(以下TAと略す),側頭筋後部(以下TPと略す)ならびに咬筋浅部(以下Mと略す)の4つの規定動作における筋活動を筋電図法を用いて記録し積分法を用いて波形処理を行った。次に被検筋相互間の活動量を知るために,各個人の平均値TA,TPおよびMの総活動電位を100%とし,各筋のTA%,TP%,およびM%を算出し,以下の結論を得た。
1.ガム自由咀聡,ピーナッツ自由咀噛,マシュマPt自由咀魍,および最大かみしめの4つの規定動作においてTA,TP,Mの3筋とも性差および左右差は認められなかった。
2.乳歯列期と永久歯列期では,咀密力を発揮するうえで,咀囎筋の使い方には明らかに違いがあり,乳歯列期では側頭筋主働型であるのに対して,永久歯列期では咬筋主働型であった。
3.これらの変化には,成長発育が大きく関与することが示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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