小児歯科学雑誌
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1歳6ヵ月児歯科健診に関する研究
-出生前後の環境因子と乳歯萌出について-
鍋島 耕二天野 秀昭三浦 一生長坂 信夫
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1985 年 23 巻 2 号 p. 421-435

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抄録

本研究は,1歳6ヵ月児歯科健診の進め方を検索し,全身的,口腔内異常の発見,齲蝕予防の確立などを目的として,1歳6ヵ月から6ヵ月毎に3歳6ヵ月まで追跡調査し検討を行っている。本報告は出生前後の環境因子のうち,母親の年齢,出生順位,妊娠の経過,出生時の異常の有無,出生時期,在胎期間,生下時体重,3ヵ月までの栄養方法を取り上げ,乳犬歯,第二乳臼歯の萌出率及び乳歯萌出型で検討を行なった。その結果,
1.母親の年齢が高い程萌出率が高く,VIII型が高い値を示した。
2.出生順位は,第一子から第三子以上となるにしたがい萌出率が高く,VIII型が高い値を示した。
3.妊娠の経過では差は無かった。
4.出生時の異常では異常なしが異常有りに比べてやや高い萌出率を示し,萌出型は,異常有りがその他の型でやや高い値を示した。
5.出生時期で乳犬歯は冬の群の萌出率が低く,第二乳臼歯は,秋の群が高い値を示した。萌出型は,VIII型で春の群が高く冬の群が低い値を示した。
6.在胎期問は長い群ほど萌出率が高く,萌出型は長い程VIII型が高く,短い群はVI,VII,その他の型が多かった。
7.生下時体重が多いほど萌出率は高く,4501g以上の群では,上顎第二乳臼歯を除いて低くなった。萌出型は体重が多い程VIII型が高い値を示した。
8.栄養方法で乳犬歯は母乳がやや低い萌出率を示し,第二乳臼歯は人工乳が高い値を示した。萌出型はほとんど差は認めなかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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