口腔領域の疾患において,歯痛が不安や恐怖,怒り,抑鬱などの感情を伴い,患者自身を苦しめている場合が多い.今回,歯科的疼痛刺激として,歯髄への電気刺激(緩徐刺激及び突発刺激),注射針による皮虜,口腔粘膜への物理刺激を,本学歯学部学生40名(男性20名,女性20名)に与え,ポリグラフを用いて内部行動変化を観察,記録した。
観察項目は心電図(ECG),呼吸曲線(RC),指尖容積脈波(PL),眼球運動図(EOG),皮膚電気反射(GSR)の5指標で分析,検討を行った。その結果は,
1)ECG,PL,EOGでは,各刺激間に有意差を認めなかったが,RCとGSRでは,電気刺激と物理刺激との間で有意差を認めるものがあり,又,GSRでは電気刺激において,緩徐刺激と突発刺激との間で有意差を認めるものがあった。
2)各指標における平均変化率は,EOG(152.65%),PL(41.68%),RC(33.64%),GSR(12.85%),ECG(6.53%)の順であったが,標準化後は,刺激別の各指標間において統計的有意差は認められなかった。又,各指標における変異係数は,PL(0.50),GSR(0.80),ECG(0.84),RC(0.88),EOG(1.19)の順であった。
3)性差は,RCとGSRの一部において認められたが,ECG,PL,EOGでは,性差は認められなかった。
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