小児歯科学雑誌
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23 巻 , 2 号
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  • 木村 光孝, 大山 直生, 内上堀 征人, 森高 久恵, 谷口 康子, 竹中 正史, 田原 英輔
    1985 年 23 巻 2 号 p. 279-290
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,口腔衛生思想の高まりと共に,予防的歯科医学への期待も非常に大なるものがある。そこで,今回著者らは齲蝕の4大要因の一つである宿主要因への積極的対策である小窩裂溝填塞法を,新材料ジーシー社製のフィッシャーシールを用いて行い,その臨床経過を追跡し,また,填塞歯の精密印象法によるレプリカを作製して,そのSEM像により,シーラントの経時的変化,及びシーラント脱落の原因を考察した。
    填塞後1年を経過した時点での保持率は平均91.8%であった。
    SEM像におけるシーラント表面は填塞直後は粗〓であるが,経時的に平坦化の様相を呈している。また,シーラントと歯質との移行部は,保持例においては非常に平滑である。
    脱落例における歯質表面の性状より,シーラント脱落の主原因は,etching操作の不備によるものであると考察された。
    etching面は,etching後6-7ヵ月で,周囲健全歯質と区別がつかなくなり,この時点で形態学的には再石灰化が終了するものと思われる。
  • 田中 光郎, 国沢 重彦, 小野 博志, 佐々木 哲, 門磨 義則, 増原 英一
    1985 年 23 巻 2 号 p. 291-298
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    主にX線による観察によって,吸収性があるとされている根管充填剤ビタペックスについて,X線写真上におけるその消失が実際の吸収消失と対応しているのか否かを調査するために,ビタペックスをラットの皮下に埋没し,経時的なX線撮影を行ない,また回収した局所残留物について核磁気共鳴分析装置,赤外線分光分析装置を用いて定性的,定量的にシリコーンオイルの追跡を試み以下の結論を得た。
    1)埋没後2-3週間でビタペックスはそのX線造影性を失うが,その局所には白い粗造な残留物が存在しており,その分析結果からこの残留物はシリコーンオイルを含む事が示され,X線造影性の消失をもってビタペックスの吸収消失とすることはできない事が明らかになった。
    2)残留物中のシリコーンナイルの定量的な調査で,シリコーンオイルは3ヵ月後でもほぼ100%残留している事が明らかになった。
    3)埋没後2週目において,残留したビタペックス中には炭酸カルシウムが存在していたが,その成分の1つである水酸化カルシウムは検出されなかった。この事からビタペックス中の水酸化カルシウムは皮下において中和され炭酸カルシウムとなるものと推察された。
  • 武田 康男, 堀内 信子, 中田 稔
    1985 年 23 巻 2 号 p. 299-307
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    ダウン症候群は,子宮内胎児期から出生後の長期間の成長過程において,身体と精神両面における顕著な発達の遅れを大きな特徴とする染色体異常である。本研究は,ダウン症候群児48名(トリソミー型男児25名,トリソミー型女児18名,モザイク型男児5名)のsemi-longitudinal資料をもとに,本症の歯牙発育の遅れの特徴と染色体核型が歯牙,身長,体重発育に及ぼす影響について検討し考察を加えたものである。歯牙所見は,月齢9ヵ月から42ヵ月の萌出資料に基づいて歯種別の乳歯萌出月齢を,アルジネート印象模型から乳歯歯冠近遠心幅径値を求めた。萌出月齢は,身長,体重値とともにstandard scoreに変換した。以上の項目に関して,核型の影響を検討した。歯冠幅径値もstandard scoreに変換し,歯種間の比較を行った。以上の検討の結果として次の点が明らかとなった。
    1)すべての歯種に関して,ダウン症候群は対照群に較べて,乳歯萌出の顕著な遅れが認められるが,前歯部の萌出の遅れがとくに大きい特微が判った。
    2)乳歯歯冠幅径値は,i2とm2を除いて,ダウン症候群が対照群より大きい結果が得られた。
    3)核型による発育の差が認められたのは,乳歯萌出であり,トリソミー型ダウン症候群の萌出の遅れが顕著であった。
    身体各部における発育の遅れの検討は,ダウン症候群の病態や胎児期発育の特徴の解明に糸口を与えると考えられる。
  • 井上 美津子, 臼田 祐子, 伊東 和子, 内田 武, 山下 登, 鈴木 康生, 佐々 竜二
    1985 年 23 巻 2 号 p. 308-322
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1歳6ヵ月児歯科健診を受診した小児の健診後の口腔内状態の変化を追跡調査し,乳歯萌出状態および齲蝕罹患状態を中心に検討した。対象は,健診後6ヵ月ごとの定期診査を3歳0ヵ月まで継続して受けた小児266名である。
    乳歯の1人平均萌出歯数は,1歳6ヵ月の15.0歯から3歳0ヵ月の19.9歯まで漸次増加し,乳歯の萌出状態は1歳6ヵ月で最も多様な萌出型が観察され個人差が明らかであった。乳切歯は1歳6ヵ月で,第1乳臼歯および乳犬歯は2歳0ヵ月でほとんどの者に萌出が認められ,第2乳臼歯は観察期間中に萌出歯数が増加し,3歳0ヵ月では大部分が萌出していた。1歳6ヵ月で萌出歯数が少ない者では,第2乳臼歯の萌出が遅れる傾向がみられた。
    齲蝕罹患状態は,1歳6ヵ月の罹患者率15.4%,1人平均齲歯数0.46歯から3歳0カ月の罹患者率68.4%,1人平均齲歯数3.97歯へと増齢的に増加した。歯種別齲歯率は,各時期を通じて上顎乳中切歯が高い値を示したが,2歳以降乳臼歯の齲歯率が急増し,下顎第2乳臼歯は2歳0ヵ月から3歳0ヵ月までの間で最も高齲蝕新生率を示した。2歳以前の低年齢で齲蝕が早発した者では,3歳0ヵ月時に齲蝕が広範化している者が多かった。乳歯の萌出状態と齲蝕罹患の関連をみると,1歳6ヵ月で萌出状態の進んでいる者は,その後の各時期で齲蝕罹患が高い傾向がみられた。
  • 山口 和史, 田村 康夫, 広瀬 永康, 田中 久盛, 篠田 圭司, 吉安 高左郎, 吉田 定宏
    1985 年 23 巻 2 号 p. 323-332
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は咬合干渉による小児咀嚼筋の筋緊張亢進の検査,および削合による咬合調整の効果判定について筋電図学的に検討を行ったものである。
    被験児は,頭部後屈運動による緊張性頸反射時の左右側頭筋前腹の筋活動に,特に左右差の認められた小児8名(乳歯列期6名,混合歯列期2名)である。筋電図記録は咬合調整前と咬合調整後7日目に記録し,筋活動の振幅の大きさ,後放電の有無などについて比較検討を行った。
    その結果,乳犬歯の水平的被蓋関係が左右非対称だと,筋電図に左右差が出現し易いことが認められた。顎運動時には8名すべてに,乳犬歯部の咬合干渉が認められ,乳犬歯部の削合による咬合調整によって,6名が筋電図学的に改善を認め,2名については充分な改善は認められなかった。以上より,小児においても緊張性頸反射を応用することによって,咬合干渉の有無の判定,そして咬合調整後の効果判定が可能であることが示唆された。
  • 辻 甫, 笹井 浩司, 清水 紀子, 篠田 圭司, 吉安 高左郎, 奥田 令以, 西崎 一郎, 徐 成徳, 堰口 宗重, 棚瀬 精三, 堀口 ...
    1985 年 23 巻 2 号 p. 333-339
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和49年10月より昭和58年12月の9年3ヵ月間に,本学小児歯科を訪れた患者のうち,歯の外傷を主訴として来院した男児63名,女児37名の計100名の年齢0歳10カ月-15歳3ヵ月までの小児を対象として,臨床統計的観察を行った。
    その結果,受傷頻度は来院児中1.0%であり,なかでも,1-2歳の受傷が最も多く受傷児全体の39.0%を占め,男女比では63対37と男児のほうが多かった。更に受傷児数の月別分布では4,5月と10,11月に多い二峰性の分布を示した。受傷好発部位は上顎前歯部で全受傷歯の75.6%に達し,1外傷あたりの外傷歯数は1-3歯が92.0%であった。受傷状態については乳歯,永久歯ともに脱臼と歯冠破折がそのほとんどを占めた。また,処置については乳歯では抜歯,経過観察,歯髄処置,整復固定の順であったが,永久歯では,経過観察,歯髄処置,整復固定,再植,抜歯の順であった。受傷原因では衝突が最も多く,次いで転倒であった。来院までの時間では,受傷後何らかの処置を受けたのは受傷当日及び翌日がほぼ同数であったが本学への来院は翌日が最も多く,当日の受診が少なかったことなどが明らかになった。
  • 平田 順一, 高須賀 三郎, 成原 雅道, 成田 寛治, 大竹 邦明, 赤坂 守人, 深田 英朗
    1985 年 23 巻 2 号 p. 340-350
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    臨床で応用されている未萌出側方永久歯群長の予測式が,それぞれどのような特徴を有しているのかを把握することを目的として,盛んに使用されている小野,モイヤース,浜野,そして平田の式について比較・検討したところ,二,三の知見を得たのでここに報告する。資料は,中切歯から第1大臼歯までのすべての永久歯が咬合を開始したもので,しかも臨床上正常と思われる歯列を有する小児男児23名,女児22名,合計45名の上下顎口腔模型である。
    これらの予測値と実測値の誤差の絶対値について検討したところ,男児よりも女児の場合が若干誤差が少なく,平田の予測式の誤差の絶対値が最も小さかった。この誤差の各予測式毎の度数分布をまとめたところ,-sideにある資料数が多い傾向を示した。
    次に各予測式毎に予測値と実測値間に成立した回帰直線を描いたところ,直線の傾きや相関係数で,女児において一致性が高い傾向にあることが示唆された。また,歯が大きな症例などに対処する予測式を探し出すために,種々の検討を行ったところ,各予測式での資料数が少ないため,どの予測式が適したものなのかを明確にできなかったが,男児ではすべて一傾向にあり,女児にも同一の傾向があり,しかもその誤差も大きいことから,このような症例に,これらの予測式を適用することは,問題があるものと思われた。
  • 長谷川 康広, 小金井 庄兵衛, 栗原 洋一
    1985 年 23 巻 2 号 p. 351-360
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    発育期にある小児の歯肉上皮内に見られる樹枝状細胞の形態的特徴を観察する目的で,4歳から12歳までの小児の臨床的に正常な歯肉上皮40例を超薄切片法により観察し,次のような結論を得た。
    1)Melanocyteは上皮基底部1-3層のkeratinocyte間に,またLangerhans細胞は有棘層keratinocyte間に観察された。
    2)Melanocyte内には多数のmelanosomeやpremelanosomeが見られ,活発なメラニン顆粒生産性が推察された。またmelanocyte内のmelanosomeは比較的均一な大きさを示し長径0.3μm,短径0.1μmの紡錘形の顆粒として観察された。
    3)基底部keratinocyte内に観察されたmelanosomeの多くは単一型で存在しており,まれに小型のmelanosome complexが観察された。また加齢に伴うkeratinocyte内のmelanosomeの増加が示唆された。
    4)歯肉上皮内のLangerhans細胞は,表皮内のLangerhans細胞と比較して絶対数は少ないものと推察された。またLangerhans細胞内のBirbeck顆粒も,表皮内と比較すると数は少ないものと思われた。
    5)形態的に細胞活性の低いinactive melanocyteと思われる樹枝状細胞が基底部keratinocyte問に観察された。
  • 飯沼 光生
    1985 年 23 巻 2 号 p. 361-377
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    哺乳動物は,生後ある期間哺乳行動を行い,次第に咀嚼行動へと移行していくわけであるが,本研究は,幼犬を用いて発達生理学的に,その移行に重要な役割をはたすと考えられる乳歯萌出,とくに乳歯歯根膜感覚の役割について検討したものである。
    その結果,生理的発育をさせた対照群では,乳歯の萌出時期が平均生後20.1日と咀嚼開始時期の生後22.3日とほぼ一致していた。また,乳歯萌出前に乳歯歯胚を摘出除去すると,咀嚼開始時期が対照群より約10日遅れ,咀嚼リズムも生後2ヵ月以上経過しても形成されなかった。このことは,乳歯摘出のための単なる物理的影響によるのか,歯根膜など末梢からの情報が中枢へ伝わらず,咀嚼中枢が発育阻害をうけ,咀嚼の学習が行われないためなのかなどが考えられる。この点を明らかにするため,さらに,乳歯は抜去せず,歯根膜神経をブロックすると,咀嚼開始が生後25.5日と対照群より約3日遅れた。咀嚼行動開始後に乳歯を抜去すると,約7日で抜歯前とほぼ同じ咀嚼リズムに回復した。
    以上の実験結果より,物理的影響よりも,乳歯萌出による歯根膜を中心とする感覚,つまり末梢からの情報が吸畷から咀嚼への移行および咀嚼リズム形成に重要な役割を果していることが示唆され,咀嚼行動の形成には,生後一定の時期の歯根膜からの咬合感覚が,咀嚼中枢の成熟に極めて重要な役割を演じていることが明らかになった
  • 加我 正行, 小野木 正章, 及川 清
    1985 年 23 巻 2 号 p. 378-387
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床に用いられている2種類の乳歯金属冠,ディスタルシューと純Niの金属試料をラット皮下組織に埋入し,それらが皮下組織に及ぼす影響を術後,7,14,30,60,90日目に病理組織学的ならびに化学的に検索して次のような結果を得た。
    1.純Niを用いた実験では,金属片周囲の皮下組織には術後7日目に肉眼的に発赤,腫脹がみられた。病理組織学的検索より,Ni金属片試料に接する組織には細胞の核崩壊を伴う,広範囲の変性壊死組織および組織崩壊がみられ,その周囲には著しい炎症性細胞浸潤および輪状の出血巣がみられた。術後90日目において,Ni金属片周囲には組織溶解層,それをとり囲む炎症性細胞浸潤および線維性結合組織がみられた。Ni金属片周囲の皮下組織内に存在するNi量は術後7,14,30,60,90日目にそれぞれ6.6,6.8,6.6,11.0,11.6μgであった。ラット皮下組織に対して,Niは著しい毒性を示していることが認められた。
    2.2種類の乳歯金属冠とディスタルシューの金属片周囲の皮下組織は,病理組織学的に全ての実験期間において,薄い線維性結合組織が金属片を被包しており,炎症性細胞浸潤がわずかに認められた。これらの金属片周囲の皮下組織内に溶出したNi量は微量に認められた。乳歯金属冠とディスタルシューはラット皮下組織に対して病理組織学的に親和性が認められた。
  • 内田 武, 臼田 祐子, 伊東 和子, 山下 登, 井上 美津子, 鈴木 康生, 佐々 竜二
    1985 年 23 巻 2 号 p. 388-403
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1歳6ヵ月児歯科健康診査における保健指導をより効果的なものにするために,健診後の生活習慣(食習慣・歯みがき習慣)の変化について追跡調査し,検討を加えた。
    対象は,保健所の1歳6ヵ月児歯科健康診査を受け,その後3歳0ヵ月まで6ヵ月毎の定期診査を受けた小児266名である。
    哺乳習慣の継続者は,1歳6ヵ月で44.7%であり,その後2歳0ヵ月までに哺乳習慣はほとんど断たれていた。
    間食摂取に規律性のある者は,1歳6ヵ月で44.0%であり,その後増加の傾向を示し,獲得した規律性は崩れにくいと推察された。間食の内容では,増齢と共に甘味物摂取者が増加し,特に1歳6ヵ月から2歳0カ月にかけての増加が顕著であった。
    飲料摂取に規律性のある者は,1歳6ヵ月で32.7%であり,その後著しい変化は認められず,自由に摂取する者の方が多かった。飲料の内容では,主に牛乳のみを与えている者は,1歳6ヵ月で36.5%であり,その後増加傾向がみられた。多量の甘味飲料を自由に与えている者は,1歳6ヵ月で24.4%であり,その後減少傾向にあった。
    歯みがきを毎日行なう者は,1歳6ヵ月で37.6%で,その後2歳0ヵ月では73.0%と著しい増加を認めた。実行者については,増齢に伴なって親子でみがく割合が高くなっていた。
  • 大野 秀夫, 森主 宜延, 住 和代, 浜田 幸子, 小椋 正
    1985 年 23 巻 2 号 p. 404-411
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    若年者の顎関節症の臨床生理学的診断基準の確立を目的として,occlusal splinti療法ならびに咬合調整を行った咬合性顎関節症患者,男性3名,女性2名,計5名について,筋電図学的研究を行い,tooth tapping時に発生した治療前後のsilent period(以下,SPと省略)に関して検討し,以下の結論を得た。
    1)SP出現頻度は,対照群100%,顎関節症群:顎関節症症状を示す時(以下,sessionIと省略)98%,疼痛ならびに開口障害が消失した時(以下,session II と省略)99%,および根絶処置の終了した時(以下session III と省略)100%で,対照群との間およびsession間に差は認められなかった。
    2)対照群のSP持続時間(以下,SPDと省略)の同名筋における左右差および同側筋における筋種差は認められなかった。
    3)顎関節症群のSPDでは,session I は対照群より有意に短縮し,session II はsessionIと同程度であった。また,session III はSessien Iより延長した値を示し,対照群と同程度であった。
    4)顎関節症群のSPDの同名筋における左右差およびsession I,IIの同側筋における筋種差は認められなかった。しかし,session III の同側筋における筋種差は認められた。
    5)顎関節症の治療前後のSPDを比較した場合,治療前には健常者範囲から短縮し,治療後,健常者節囲に回復した。
  • 大野 秀夫, 畠田 慶子, 西田 裕光, 吉元 辰二, 小椋 正
    1985 年 23 巻 2 号 p. 412-420
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児義歯(可撤保隙装置)は,咬合誘導の一手段として位置づけられ,機能的保隙装置の代表として,臨床応用されているが,未だ解決されていない問題点が多く残されている。その中でも,小児義歯の咀嚼能力の回復に関する報告は少ない。
    著者らは,この点に関して,Hellmanの咬合発育段階IIA期およびIIC期の小児義歯装着患児17名について装置を撤去した状態(以下非装着時と省略)と挿入した状態(以下装着時と省略)について,筋電図の積分処理を行い検討し,以下の結論を得た。
    1)総活動電位において,IIAでは,装着時は非装着時に比較し減少傾向を示したが,IICでは,ほぼ同程度であった。
    2)側頭筋前部,側頭筋後部および咬筋浅部の総括動電位に対する百分率を検討すると,装着時は非装着時と同様の筋活動パターンを示した。
    3)非装着時の総活動電位に対する装着時の総活動電位の比率を検討すると,IIAでは装着時は非装着時に比較し,減少傾向を示したが,IICでは増加傾向を示した。
    4)小児義歯装着による咀嚼能力の回復は,装置の安定性にも左右されると思われた。しかし,歯齢の上昇とともに向上し,第1大臼歯の咬合状態によって,著明に咀嚼能力が回復すると考えられた。
  • 鍋島 耕二, 天野 秀昭, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1985 年 23 巻 2 号 p. 421-435
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,1歳6ヵ月児歯科健診の進め方を検索し,全身的,口腔内異常の発見,齲蝕予防の確立などを目的として,1歳6ヵ月から6ヵ月毎に3歳6ヵ月まで追跡調査し検討を行っている。本報告は出生前後の環境因子のうち,母親の年齢,出生順位,妊娠の経過,出生時の異常の有無,出生時期,在胎期間,生下時体重,3ヵ月までの栄養方法を取り上げ,乳犬歯,第二乳臼歯の萌出率及び乳歯萌出型で検討を行なった。その結果,
    1.母親の年齢が高い程萌出率が高く,VIII型が高い値を示した。
    2.出生順位は,第一子から第三子以上となるにしたがい萌出率が高く,VIII型が高い値を示した。
    3.妊娠の経過では差は無かった。
    4.出生時の異常では異常なしが異常有りに比べてやや高い萌出率を示し,萌出型は,異常有りがその他の型でやや高い値を示した。
    5.出生時期で乳犬歯は冬の群の萌出率が低く,第二乳臼歯は,秋の群が高い値を示した。萌出型は,VIII型で春の群が高く冬の群が低い値を示した。
    6.在胎期問は長い群ほど萌出率が高く,萌出型は長い程VIII型が高く,短い群はVI,VII,その他の型が多かった。
    7.生下時体重が多いほど萌出率は高く,4501g以上の群では,上顎第二乳臼歯を除いて低くなった。萌出型は体重が多い程VIII型が高い値を示した。
    8.栄養方法で乳犬歯は母乳がやや低い萌出率を示し,第二乳臼歯は人工乳が高い値を示した。萌出型はほとんど差は認めなかった。
  • 石川 隆義, 岩井 泰介, 三宅 雄次郎, 森尾 善子, 長坂 信夫
    1985 年 23 巻 2 号 p. 436-446
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    口腔領域の疾患において,歯痛が不安や恐怖,怒り,抑鬱などの感情を伴い,患者自身を苦しめている場合が多い.今回,歯科的疼痛刺激として,歯髄への電気刺激(緩徐刺激及び突発刺激),注射針による皮虜,口腔粘膜への物理刺激を,本学歯学部学生40名(男性20名,女性20名)に与え,ポリグラフを用いて内部行動変化を観察,記録した。
    観察項目は心電図(ECG),呼吸曲線(RC),指尖容積脈波(PL),眼球運動図(EOG),皮膚電気反射(GSR)の5指標で分析,検討を行った。その結果は,
    1)ECG,PL,EOGでは,各刺激間に有意差を認めなかったが,RCとGSRでは,電気刺激と物理刺激との間で有意差を認めるものがあり,又,GSRでは電気刺激において,緩徐刺激と突発刺激との間で有意差を認めるものがあった。
    2)各指標における平均変化率は,EOG(152.65%),PL(41.68%),RC(33.64%),GSR(12.85%),ECG(6.53%)の順であったが,標準化後は,刺激別の各指標間において統計的有意差は認められなかった。又,各指標における変異係数は,PL(0.50),GSR(0.80),ECG(0.84),RC(0.88),EOG(1.19)の順であった。
    3)性差は,RCとGSRの一部において認められたが,ECG,PL,EOGでは,性差は認められなかった。
  • 後藤 讓治, 細矢 由美子
    1985 年 23 巻 2 号 p. 447-454
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    頂窩は,1937年,所によって報告された歯牙咬頭部附近のエナメル質に認められる小窩であり,これまで頂窩に関する報告は少ない。本研究においては,10例の咬耗,磨耗の少ない人間永久歯の頂窩49例が観察された。観察は先ず実体顕微鏡によってなされ,次いで超音波洗浄器による洗浄,乾燥後,金蒸着が施され,走査型電子顕微鏡によって観察並びに計測が行われた。また,標本の一部は,頂窩中央部で矢状断され,その側壁部が走査型電子顕微鏡によって観察された。
    観察の結果,1歯あたり最大9個,最小2個,平均4.9個の頂窩が見られた。頂窩の開口部の形態は,円形(46.9%),楕円形(36.7%)三角形(10.2%),その他(6.1%)に分類された。頂窩の直径は最大0.68mm,最小0.014mmで,平均0.17mmであった。
    頂窩は,歯牙の咬頭部付近のエナメル質に喇叭状に開口し,エナメル象牙境付近で試験管状に終了する盲管である。また,頂窩の側壁には,側枝状の小孔が開口しているのが観察された。
  • 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1985 年 23 巻 2 号 p. 455-467
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    種々な深さに切削された乳歯エナメル質面に対するエッチング材の酸処理効果を観察する事を目的に,本研究を行った。資料としては,乳前歯26例を使用し,40%正燐酸で1分間のエッチングと30秒間の水洗を行い,エッチング面をSEMで観察した結果,下記の結論を得た。
    コントロール群では,無処理エナメル質面及び高速電気エンジンに装置したポリシングブラシで乾燥下に歯面を研磨した症例のすべてと,低速電気エンジンで乾燥下に歯面を研磨した症例の一部に,小柱構造の出現が観察された。また,エッチングにより小柱構造が出現した症例のすべてにおいて,小柱周囲が強く溶解された像と,小柱構造が極めて不明瞭な像とが観察された。
    切削群については,全症例において,エッチング面に小柱構造が認められた。そして,切削群17例中,16例(94.1%)に小柱の周囲が強く溶解された像が認められ,14例(82.4%)に,小柱構造が不明瞭な像が観察された。なお,切削方法とエナメル質のエッチング型との間には,差は認められなかった。しかし,エナメル質の切削部位が,エナメル質の中層から内層に致る症例の方が,外層の症例よりもエナメル質の溶解が強く生じる傾向が認められた。これは,エナメル質の部位による石灰化の差と小柱構造の差に由来するものと思われる。
  • 吉野 弘, 小椋 正
    1985 年 23 巻 2 号 p. 468-484
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    3歳から5歳までの患者43名とその母に,治療前後にカラー・ピラミッド性格検査を実施し,レストレイナーによる拘束歯科治療が,小児とその母にpsychic traumaの原因となるかどうかの深層心理を調査した。
    その結果,歯科治療への適応度の低い小児は,外的刺激に対する子どもらしい未分化・無批判な受容傾向が低かった。これは,小児では,一般に適応力の低さを意味する。歯科治療への適応度の低い小児の母には,特定の性格特徴は見い嵐されなかった。
    また,レストレイナーによる拘束は,適応度の低い小児だけに対して行われたが,そのような小児の外的刺激に対する受容の未分化・無批判な傾向を高めた。これは,小児では,一般に適応力の増大を意味する。一方,レストレイナーによる拘束はその母に,外的刺激に対する適度な選択的受容の傾向を高めた。これは,成人では,一般に適応力の増大を意味する。
    以上の結果より,レストレイナーによる拘束歯科治療は,母子に対しpsychic traumaを与えず,むしろ,適応力を増大させることが示された。この点からは,レストレイナーの使用は奨励される。しかし,本研究でのレストレイナーの使用は,tell-show-do,説得hand-over-mouth等がすべて失敗した場合の最後の手段であったことは,留意すべきであろう。
  • 小口 春久, 向井 美恵, 佐々 竜二, 中田 稔, 小野 博志
    1985 年 23 巻 2 号 p. 485-493
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    半側性肥大症は稀な疾患であり,その成因は明らかでない。顔や四肢に特長がみられ,胎芽異常とも考えられている。
    我々は,東京医科歯科大学小児歯科外来に来院した半側性肥大症の女児(初診時3歳8ヵ月)について6年間にわたる経年的な観察を行い,その歯科的所見ならびにレントゲン的所見の結果から,次のような興味ある知見を得た。
    1.正中を境にして顔面の非対称が著しく,鼻および口唇の右側への彎曲が認められた。初診時より現在(昭和53年)にいたるまで変化は認められなかった。
    2.初診時,舌は顔面の左側へ肥大,肥厚していた。乳頭は肥厚しており,正中線は右偏していた。
    3.正貌頭部X線規格写真では,顎骨および軟組織とも初診時より現在(昭和53年)にいたるまで,常に肥大側の方が大きかった。
    4.45度斜方頭部X線規格写真にて歯の形成量を測定したところ,肥大側の方が歯胚の形成において先んじていることがわかった。
  • 野口 元, 大森 郁朗
    1985 年 23 巻 2 号 p. 494-510
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    11歳女子が齲蝕治療を主訴として,鶴見大学歯学部附属病院小児歯科へ来院した。全身所見には,異常は認められなかった。オルソパントモおよび咬合型を含む全顎X線写真診査で,上顎両側犬歯の異常な萌出経路により,上顎両側中・側切歯の歯根吸収が認められた。これらの所見に加えて,側貌頭部X線規格写真分析で,骨格型の異常に基づく反対咬合が認められ,これらのことにより,切歯の歯根吸収も,歯と歯槽基底の不調和に伴なうものと考えられた。
    本症例では,患児に対する心理学的配慮も重要であると考えられたため,治療は通常の齲蝕処置から開始した。上顎中切歯の抜歯は,上顎犬歯の萌出時期が近くなった時期に行った。上顎犬歯を中切歯の位置に萌出させた後,マルチブラケット装置を用いて排列矯正を行った。最終的に,良好な位置を獲得した両側犬歯に,中切歯形態のジャケット冠を装着した。患児は現在17歳10ヵ月である。これらの包括的な歯科治療により,機能的にも,審美的にも,満足する結果が得られた。
  • 小口 春久, 飯塚 美酉, 及川 清
    1985 年 23 巻 2 号 p. 511-518
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の外傷は種々の原因によって生ずるが,そのうちで一番多いのが脱臼である。その治療方法としては先ず第1に,整復固定術を実施することが大切である症例が多い。外傷を受けた乳歯の整復固定方法については,種々報告されているが,患児の協力態度,乳歯の萌出状態や歯冠形態,更には操作上の問題などから臨床上,その適応に困難さを伴う場合が多かった。
    今回,我々はグラスファイバーと矯正用オルソマイト・スーパーボンドを使用することによって,外傷歯に対する固定を試みた。患児は,乳歯の外傷を主訴として当科外来を受診してきた。受診時において,歯の脱臼と診断した結果,直ちに受傷歯を整復固定すべき症例であった。
    本法は,脱臼した受傷歯を整復した後の固定処置の方法として極めて簡単である。技工室での技工操作を全く必要としないで,固定に要する時間は短い。また,治療上,患児に対する侵襲や負担も少なく,固定後においても,不快感異物感もほとんどみられない。更に口腔内の衛生管理も容易である。
    グラスファイバーを用いたレジンスプリントは,強度が高く,破析,脱落するなどの合併症もほとんどみられない。予後も極めて良好であり,健全歯を固定源として,ほとんどの歯列に適応させることが可能である。グラスファイバーとオルソマイト・スーパーボンドを使用した固定法に必要とする器具も最小限である。それ故,救急歯科医療における特に脱臼を伴う外傷歯の治療上,極めて有効であることが明らかにされた。
  • 秋山 育也, 西尾 明子, 信家 弘士, 砂田 雅彦, 長坂 信夫
    1985 年 23 巻 2 号 p. 519-527
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    かつて咬合機能を営んでいたが,なんらかの原因で低位となるようになった乳歯を低位乳歯と呼んでいる。著者らは,本学小児歯科を受診した11歳9ヵ月の女児に上顎左右第一乳臼歯の低位乳歯を認めた。
    頬側面観では左右側ともに患歯の頬側咬頭頂が,両隣在歯の臨床的歯頸部の高さでわずかに歯肉縁上に認められるのみである。咬合面にはアマルガム充填がなされているが,その大部分は歯肉に被われ,アマルガムの辺縁には二次齲蝕がみられる。また触診によりわずかに動揺が認められた。
    X線診査の結果,左右側とも後継永久歯は欠如しており,患歯の歯根には著しい歯根吸収がみられ,口蓋根の一部を残すのみとなっている。歯根膜腔,歯槽硬線ともに口蓋根の近心側で一部分明瞭に認められるのみであった。
    低位歯の原因は明らかでないが,発生機序として外力による直接的陥没と,萌出力の減少,消失により隣在歯の萌出,顎の垂直的発育に取り残される間接的陥没が考えられている。本症例についてもその原因は明らかでない。患歯は咬合機能をまったく営んでおらず,清掃困難による齲蝕および歯周疾患の罹患,また両隣在歯の傾斜による咬合の不正などを考慮し抜歯処置の適応と診断した。
  • 冨士田 稔子, 砂田 雅彦, 今西 一, 長坂 信夫
    1985 年 23 巻 2 号 p. 528-535
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯の発育異常の一つに融合歯があるが,永久歯の融合歯は乳歯に比べると出現頻度が低いと言われている。著者らは,本学小児歯科を受診した7歳4ヵ月の男児に,下顎右側前歯部(21)の融合歯を認めた。
    患児は初診時年齢7歳4ヵ月,下顎右側前歯部(21)の形態異常を主訴としていた。家族歴としては,5歳10ヵ月の弟にABの融合歯を認め,既往歴としては4歳時上顎前歯部に外傷の既往がある。全身的発育,栄養状態は良好である。21は融合し,前歯部に叢生を認めた。21の融合歯は遠心舌側方向へ傾斜し,1の遠心舌側辺縁隆線部に2の近心部が融合している。
    レントゲン所見では,歯数の異常はなく歯胚の形成状態も正常であった。1の歯軸は傾斜しており,1と2は歯冠部で融合しているが歯根はわかれている。歯髄が連結しているか否かは不明である。融合歯の歯根は未完成であった。原因については遺伝傾向も考えられるが不明である。本症例の処置として21を分割し,2には生活歯髄切断を行った。SLAで歯軸を改善し,歯冠修復を行って経過観察中である。
  • 外木 徳子, 藤居 弘通, 町田 幸雄
    1985 年 23 巻 2 号 p. 536-542
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,5歳0ヵ月の男児において上顎左側乳中切歯の逆生埋伏という極めて珍しい症例を経験した。患児は家族歴,既往歴および全身的発育状態において異常が認められなかった。初診時の口腔内診査では,上顎左側乳中切歯部の歯齦が歯槽頂部において僅かに陥凹し,唇側が多少膨隆している他は,周囲組織に異常な所見は見られなかった。レントゲン診査の結果,上顎左側乳中切歯の逆生埋伏であることが確認された。その後,経過観察中に後続永久歯の萌出に伴い,唇側歯頸部の根面歯質の一部が歯齦上に露出してきた。1年2カ月後,歯牙を抜去したところ解剖学的歯冠形態は上顎乳中切歯の特徴を殆ど具備していた。病理組織学的には,歯銀上に露出していた唇側歯頸部根面歯質に相当する髄腔壁に多量の補綴象牙質が形成されていた。また,根端側の象牙質には吸収像を認め,一部には白亜質様硬組織の新生添加が認められた。本症例の逆生埋伏の直接的な原因は不明であるが,胎生期において何等かの原因で歯芽が位置異常を起し,埋伏した状態で根の形成がある程度進行したと考えられる。その後,永久歯の萌出に伴い,埋伏歯が押され歯根部歯質が吸収するとともに,歯牙の一部が歯齦上に露出したものと推測される。そして,露出根面からの刺激を遮断するためにその部分に相当する髄腔壁に多量の補綴象牙質が形成されたものと考えられる。
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