小児歯科学雑誌
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頂窩に関する研究(第1報)-人間永久臼歯頂窩のSEMによる観察-
後藤 讓治細矢 由美子
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キーワード: 頂窩, 人間永久臼歯, SEM観察
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1985 年 23 巻 2 号 p. 447-454

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抄録
頂窩は,1937年,所によって報告された歯牙咬頭部附近のエナメル質に認められる小窩であり,これまで頂窩に関する報告は少ない。本研究においては,10例の咬耗,磨耗の少ない人間永久歯の頂窩49例が観察された。観察は先ず実体顕微鏡によってなされ,次いで超音波洗浄器による洗浄,乾燥後,金蒸着が施され,走査型電子顕微鏡によって観察並びに計測が行われた。また,標本の一部は,頂窩中央部で矢状断され,その側壁部が走査型電子顕微鏡によって観察された。
観察の結果,1歯あたり最大9個,最小2個,平均4.9個の頂窩が見られた。頂窩の開口部の形態は,円形(46.9%),楕円形(36.7%)三角形(10.2%),その他(6.1%)に分類された。頂窩の直径は最大0.68mm,最小0.014mmで,平均0.17mmであった。
頂窩は,歯牙の咬頭部付近のエナメル質に喇叭状に開口し,エナメル象牙境付近で試験管状に終了する盲管である。また,頂窩の側壁には,側枝状の小孔が開口しているのが観察された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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