小児歯科学雑誌
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永久歯下顎前歯部融合歯の処置及び経過について
冨士田 稔子砂田 雅彦今西 一長坂 信夫
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キーワード: 歯の異常, 融合歯, 下顎前歯
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1985 年 23 巻 2 号 p. 528-535

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抄録
歯の発育異常の一つに融合歯があるが,永久歯の融合歯は乳歯に比べると出現頻度が低いと言われている。著者らは,本学小児歯科を受診した7歳4ヵ月の男児に,下顎右側前歯部(21)の融合歯を認めた。
患児は初診時年齢7歳4ヵ月,下顎右側前歯部(21)の形態異常を主訴としていた。家族歴としては,5歳10ヵ月の弟にABの融合歯を認め,既往歴としては4歳時上顎前歯部に外傷の既往がある。全身的発育,栄養状態は良好である。21は融合し,前歯部に叢生を認めた。21の融合歯は遠心舌側方向へ傾斜し,1の遠心舌側辺縁隆線部に2の近心部が融合している。
レントゲン所見では,歯数の異常はなく歯胚の形成状態も正常であった。1の歯軸は傾斜しており,1と2は歯冠部で融合しているが歯根はわかれている。歯髄が連結しているか否かは不明である。融合歯の歯根は未完成であった。原因については遺伝傾向も考えられるが不明である。本症例の処置として21を分割し,2には生活歯髄切断を行った。SLAで歯軸を改善し,歯冠修復を行って経過観察中である。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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