小児歯科学雑誌
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萌出前後におけるラットエナメル質の成熟について
堰口 宗重
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1985 年 23 巻 3 号 p. 555-574

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抄録
萌出間もない歯は一般に齲蝕感受性が高く,これにはエナメル質の性状が大きく関与しているものと考えられる。そこで本研究では,齲蝕感受性にかかわるエナメル質表面層の成熟度を検討するため,ラット切歯を用い,萌出直前から萌出直後におけるエナメル質無機相の性状およびエナメル質の成熟に関連をもつ唾液の影響について検討した。
その結果,幼齢ラット上皮付着部エナメル質に多数の小窩が認められ,生後11日のラットエナメル質では, 1 8 日以降のエナメル質と比較して, 表層および内層約1/3に低石灰化部が存在し,骨萌出しても未だ石灰化が進行していることがわかった.そして,この低石灰化部エナメル質アパタイトの結晶性は,a軸方向でのみ低いことが認められた。また,低石灰化部を口腔内に露出した場合,石灰化が進行し,ことにフッ化物(APF Gel)の適応によりその反応が促進され,この場合a軸方向への結晶性の向上が認められた。
以上の結果,萌出直前,直後のエナメル質表層は未だ十分に成熟していないこと,さらに萌出直前に至るまで石灰化が進行していることから,萌出が早められたような場合には,早期に歯質の石灰化向上を計るなど歯質保護の必要性のあることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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