本学附属病院小児歯科外来受診児1024名(男506名, 女518名) についての資料(口腔内写真,模型,X線写真)から,乳歯癒合,欠如歯の頻度,後継歯の有無,近遠心径,唇舌径の計測を行なった。
発生頻度は,癒合57名(5.6%),欠如18名(1.8%)で下顎に有意に多かったが,性差,左右差はなかった。部位別には,癒合では,ABが45歯と多く,ついでBC17歯,AB4歯であった。欠如では,B18歯,B2歯,A1歯であった。臼歯部の癒合,欠如は認められなかった。
後継歯の異常については,乳歯に癒合,欠如が認められた場合,乳歯が正常なものより後継歯に癒合,欠如をきたす割合が高く,また部位別には,BC癒合,B欠如症例の方がが,AB癒合より高頻度に後継歯の異常をきたしていた。
下顎片側癒合,欠如症例に於いての下顎前歯の歯冠の大きさの計測で,癒合歯は正常側対応部遠心歯より近遠心径は大きいが,唇舌径は,遠心歯と近心歯の中間の値をとる傾向が認められた。B 欠如症例では, 患側C の近遠心径, 唇舌径ともに, 正常側B より大きく,C よりは小さかった。この点に関しては, B C 癒合が高度に進行し, その結果あたかもB欠如症例の様に見えるのではないかと考えられた。
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