小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
23 巻 , 3 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 堰口 宗重
    1985 年 23 巻 3 号 p. 555-574
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    萌出間もない歯は一般に齲蝕感受性が高く,これにはエナメル質の性状が大きく関与しているものと考えられる。そこで本研究では,齲蝕感受性にかかわるエナメル質表面層の成熟度を検討するため,ラット切歯を用い,萌出直前から萌出直後におけるエナメル質無機相の性状およびエナメル質の成熟に関連をもつ唾液の影響について検討した。
    その結果,幼齢ラット上皮付着部エナメル質に多数の小窩が認められ,生後11日のラットエナメル質では, 1 8 日以降のエナメル質と比較して, 表層および内層約1/3に低石灰化部が存在し,骨萌出しても未だ石灰化が進行していることがわかった.そして,この低石灰化部エナメル質アパタイトの結晶性は,a軸方向でのみ低いことが認められた。また,低石灰化部を口腔内に露出した場合,石灰化が進行し,ことにフッ化物(APF Gel)の適応によりその反応が促進され,この場合a軸方向への結晶性の向上が認められた。
    以上の結果,萌出直前,直後のエナメル質表層は未だ十分に成熟していないこと,さらに萌出直前に至るまで石灰化が進行していることから,萌出が早められたような場合には,早期に歯質の石灰化向上を計るなど歯質保護の必要性のあることが示唆された。
  • 山田 恵子
    1985 年 23 巻 3 号 p. 575-591
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    レーザー光がエナメル質に耐酸性を付与することは, これまでの多くの基礎的研究により明らかである。実際にレーザーを齲蝕予防手段として臨床に導入するには歯髄の損傷や患者の痛感覚がなく,かつ十分な耐酸性の得られるエネルギーを設定する必要がある。
    本研究は上記を満たす条件を設定する目的で,抜去乳歯及び幼若小臼歯に各種エネルギー密度でNd:YAG レーザーを照射し, 耐酸性付与の程度, 照射時の髄腔側温度上昇及び耐酸性が付与されるエナメル質の深さについての実験を行い,次の結果を得た。
    1)各種エネルギー密度のNd:YAGレーザー照射後のエナメル表面を0.1M 乳酸(pH4.5) にて脱灰し, S E M にて観察したところ, 乳歯では37.5J/cm2 , 幼若小臼歯では62.5J/cm2 で確実な耐酸性が得られた。
    2) レーザー照射時の髄腔側温度上昇は歯面への墨塗布の有無にかかわらず, エネルギー密度が高い程大きな値を示すが,墨塗布なしの変化量は墨塗布の数倍であった。耐酸性の得られるエネルギー密度照射の際は, 乳歯で5 ℃ , 幼若小臼歯で4 . 3 ℃ の温度上昇を示し,歯髄損傷,痛感覚の閾値には達しないと思われた。
    3) 幼若小臼歯に30J/cm2, 45J/cm2 , 65J/cm2 のレーザー照射をおこない, 対照に対するエナメル質耐酸性獲得の程度を比較した結果, 30J/cm2 は殆ど耐酸性獲得はなされず, 45J/cm2 では10% 前後, 65J/cm2 では50% 前後のエナメル質溶解の抑制がみとめられた。また,65J/cm2照射エナメル質は表面から80μm以上の深さまで耐酸性が獲得された。
  • 泉谷 明, 墨 典夫, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1985 年 23 巻 3 号 p. 592-599
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    スクロースをパラチノースに転換する過程中に副産物として得られるシロップ(パラチノース蜜: トレハルロース38.8% , パラチノース18.7% , その他の糖42.5%) の齲蝕誘発能をin vitroおよびラット実験齲蝕系で調べた。
    供試菌にS.mutan MT8148R (血清型c) , 6715 (同g) 株を用い, in vitro 系では酸産生, ガラス平面付着, 粗GTase による不溶性グルカン合成への影響を調べた。また,18日齢のSDラットに両菌を感染させ, スクロース, パラチノース蜜, 小麦粉およびその混合物を含む飼料を与えて55日間飼育した。
    その結果, S.mutans 株による酸産生, 不溶性多糖合成が示されたが, 一方, S.mutansのガラス管壁への付着とスクロースからの不溶性グルカン合成の阻害作用も認められた。動物実験による翻蝕誘発能は,スクロースの1/3-1/4と明白に低いものの,小麦粉やパラチノースのように非齲蝕原性とは認められなかった。また,パラチノース蜜はスクロースの齲蝕誘発能を増強も抑制もしないことが示された。
  • 上浦 美智子
    1985 年 23 巻 3 号 p. 600-624
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    予防充填処置や保存修復時, 歯質とレジンとの接着力を向上させるため, リン酸によるエナメル質酸処理法が広く行われている。しかし,この操作は健全エナメル質に対して化学的損傷を与える欠点もあり,レジンにより被覆されなかった酸処理エナメル質は,齲蝕発生の危険性が考えられる。そこで,本研究は石灰化溶液中および口腔内における酸処理エナメル質の再石灰化現象を検討し,次のような知見を得た。
    1)石灰化溶液浸漬実験:浸漬10日目の酸処理エナメル質の表面は平坦であり,石灰化度も無処理エナメル質とほぼ同程度を示していた。さらに, C a , P の線分析結果, および赤外線吸収スペクトル像も無処理エナメル質と同様の傾向を示していた。また,浸漬2 8 日目のC a , P の結合エネルギー値は, 無処理エナメル質のそれよりもわずかに高エネルギー側に位置していた。しかし,浸漬28日間経過後も酸処理により溶解した約2 0 μ m のエナメル質表層の形態回復は生じていなかった。
    2) 口腔内唾液浸漬実験: 保隙装置に取り付けて口腔内に浸漬した酸処理エナメル質の表面は,均一で滑らかであり,その歯固有の無処理エナメル質の表面形態を示していた。しかし,浸漬45日間経過後も石灰化度は,無処理エナメル質よりも低く,酸処理により溶解したエナメル質表層の形態回復も生じなかった。
  • 浜田 芳隆, 広瀬 寿秀, 高橋 章子, 五十嵐 公英, 神山 紀久男
    1985 年 23 巻 3 号 p. 626-635
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本学附属病院小児歯科外来受診児1024名(男506名, 女518名) についての資料(口腔内写真,模型,X線写真)から,乳歯癒合,欠如歯の頻度,後継歯の有無,近遠心径,唇舌径の計測を行なった。
    発生頻度は,癒合57名(5.6%),欠如18名(1.8%)で下顎に有意に多かったが,性差,左右差はなかった。部位別には,癒合では,ABが45歯と多く,ついでBC17歯,AB4歯であった。欠如では,B18歯,B2歯,A1歯であった。臼歯部の癒合,欠如は認められなかった。
    後継歯の異常については,乳歯に癒合,欠如が認められた場合,乳歯が正常なものより後継歯に癒合,欠如をきたす割合が高く,また部位別には,BC癒合,B欠如症例の方がが,AB癒合より高頻度に後継歯の異常をきたしていた。
    下顎片側癒合,欠如症例に於いての下顎前歯の歯冠の大きさの計測で,癒合歯は正常側対応部遠心歯より近遠心径は大きいが,唇舌径は,遠心歯と近心歯の中間の値をとる傾向が認められた。B 欠如症例では, 患側C の近遠心径, 唇舌径ともに, 正常側B より大きく,C よりは小さかった。この点に関しては, B C 癒合が高度に進行し, その結果あたかもB欠如症例の様に見えるのではないかと考えられた。
  • 岡部 旭, 川端 啓義, 小林 敬子, 牧口 哲英, 内田 武, 本間 まゆみ, 鈴木 康生, 佐々 竜二
    1985 年 23 巻 3 号 p. 636-650
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において, 乳歯の歯髄を保存する意義は大きい。本研究は, 水酸化カルシウム法により生活歯髄切断処置後に形成された庇蓋硬組織の状態を電気抵抗測定器(カリエスメーター)を用いて測定することにより,その結果から庇蓋硬組織のX線的な診断と電気抵抗値との関係を明らかにしようとするものである。
    対象は,2歳から6歳までの小児42名の乳前歯17歯(17根),および下顎乳臼歯25歯(50根)であり,それらに生活歯髄切断処置を施し,つぎのような結果を得た。
    1)乳歯生活歯髄切断法の庇蓋硬組織形成は,X線像において,早いものは術後1カ月(28.6%)から見られた。3カ月頃には大多数の症例(51.1%)で庇蓋硬組織が見られるようになり, それ以降はあまり増加しない傾向にあった。
    2)電気抵抗値も術後の観察月数の増加に伴ない,漸次上昇する傾向にあったが,7カ月頃ほぼ上昇がゆるやかになった。又,5,6カ月以降でないと比較的高い抵抗値(12.0kΩ以上)が得られない傾向にあることがわかった。
    3)X線像で術後3カ月未満に庇蓋硬組織が認められた症例の多くは,電気抵抗値が10.5kΩ未満と低い値であることから,まだ庇蓋硬組織の形成が途上であると考えられる。したがって,この期間では,X線所見のみによる庇蓋硬組織の形成状態の判定は問題があると思われた。
  • 細矢 由美子
    1985 年 23 巻 3 号 p. 651-665
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    38%フッ化ジアンミン銀(サホライド)塗布後の乳歯に対する酸処理効果とレジンの浸入について観察する事を目的に研究を行った。
    資料としては,口腔内で齲蝕症第2度の乳歯にサホライドを塗布した33例と,抜去もしくは自然脱落した齲蝕症第2度の乳歯に口腔外でサホライドを塗布した24例を用いた。エッチング材,ボンディング材並びに修復用レジンは,Clearfil Bonding System-Fを用いた。
    軟化象牙質を除去し,エッチングを行ったサホライド塗布後の乳歯象牙質面では,エッチング後においても多くの象牙細管が閉鎖されており,サホライドが塗布されていない場合の齪蝕下乳歯象牙質面には認められなかった,立方体,平行六面体の集合,線維状並びに不定形の構造物などが観察された。
    口腔内もしくは口腔外でサホライドを塗布した乳歯29例について,象牙細管内へのレジンの浸入状態を観察した結果,塗布後の経過日数と浸入レジンの長さの間には,統計学的に有意な差は認められなかった。
    サホライド塗布後の齲蝕下乳歯象牙質は,酸処理効果もレジンの浸入状態も健全乳歯象牙質の場合より明らかに劣っており,さらにサホライドが塗布されていない齲蝕下乳歯象牙質よりも劣る傾向が観察された。
  • 白川 美穂子, 岡本 潤子, 森尾 善子, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1985 年 23 巻 3 号 p. 666-677
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,咀嚼育成の初期の時点である離乳期をとりあげ,咀嚼機能の発達経過を知るため,統一された離乳が行われている保育園児を対象に,2週間間隔で食事調査と乳歯萌出状態調査を行った。対象児は,満4カ月から15カ月までの健康な乳幼児20名である。離乳食の摂取および咀嚼状態について,月齢別,離乳進行の時期別,乳歯の萌出型別に検討し,以下の結果を得た。
    1)離乳食の食形態は,前期はペースト状,中期は舌でつぶせる固さ,後期は歯ぐきでつぶせる固さのものであり,後期食は前期食の約10倍の硬さであった。
    2)離乳食摂取状態は,外見的に9項目に分類できた。
    3)「もぐもぐよく口を動かす」は,月齢とともに増加し,15カ月で100%になり,乳歯の萌出型で見ると,上下顎乳中切歯4本萌出時に著しい増加が見られた。
    4)「2-3回もぐもぐして飲み込む」は,6・7・8カ月の中期に増加して,以後減少し,15カ月では消失した。
    5)「舌をよく突き出す」は,4-5カ月では約90%と高率を示したが,以後急激に減少した。
    6)「チュッチュッ吸うように食べる」は,11カ月ころに最も多く認められたが,15カ月では減少傾向にあった。
    7)他の食べかたは,離乳食の進行で見ると前期から中期にかけて,萌出型では,下顎乳中切歯2本萌出までに認められたが,15カ月では消失した。
  • 泉谷 明
    1985 年 23 巻 3 号 p. 678-694
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    固定化酵素を用いて工業的に製造された高純度パラチノースの齲蝕誘発能を,in vitroおよび実験動物を用いて調べた。
    血清型aからhに属する8株のStroptecoccecs mutansは,パラチノースからほとんど酸を産生しなかった。また,パラチノース培地中で10代まで継代培養しても,明瞭な酸の産生は認めなかった。スクロースの存在下で認められるS.mutans菌体のガラス管壁への付着は,パラチノースの添加により抑制された。さらにS.mutansの培養上清より硫酸アンモニウム沈殿により得た粗GTaseは,スクロースから多量の不溶性グルカンを合成するが,パラチノースを添加すると,不溶性グルカンの合成が著明に抑制された。
    実験齲蝕によるパラチノースの齲虫誘発能は,6715株あるいはMT8148R株のいずれを感染させたラットにおいてもほとんど認められなかった。しかしinvitroで認められたS.mutansとスクロースより誘発される齲蝕を抑制する作用は,動物実験では明確にすることはできなかった。以上の結果は,パラチノースの齲蝕誘発能が極めて低く,スクロースに代わる食品甘味料として有望であることが示唆された。
  • 二木 昌人, 広田 和子, 田北 恵子, 浜野 良彦, 中田 稔
    1985 年 23 巻 3 号 p. 695-701
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳臼歯咬合面窩洞のレジン充填を考慮して,ラウンド・ベベル用およびストレート・ベベル用のベベル付与バーの考案試作を行なった。試作バーは,咬合面と窩壁にガイドを求めることにより,幅・深さともに0.5mmのベベルが付与できるような形態および寸法に製作した。
    抜去乳前歯および乳臼歯を試料として,乳前歯唇面および乳臼歯咬合面に窩洞形成後,試作バーを使用してベベルを付与した。これらを,直接歯面上および印象採得によって作製した石膏模型の切断面上で,ベベルの形態を実体顕微鏡にて観察した結果,比較的均一かつ確実にベベルが付与されていることが判明した。
    そこで,これらの窩洞にレジン充填を施した後,冷熱刺激を与えるサーマル・サイクリグ・テストを着色液中で行ない,レジンと歯質間の色素浸透度より,窩縁形態と辺縁封ン鎖性との関連性を調べた。その結果,乳前歯,乳臼歯のいずれにおいても,ラウンド・ベベルを付与したものが最も辺縁封鎖性が良好であることが明らかになった。
  • 山崎 勝之, 野坂 久美子, 高砂子 祐平, 鈴木 準
    1985 年 23 巻 3 号 p. 702-715
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    低フォスファターゼ症は,全身的な骨形成不全症,血漿ならびに各種臓器組織中のalkarine phosphataseの活性値の低下,さらに尿中へのphosphoethanolamineの排泄を特徴としている。また,歯科学的には乳歯の早期脱落を特徴とし,時折これが主たる現症となっている。
    今回著者らは,乳前歯の早期脱落と動揺を主訴として当科を受診し,その後本学小児科で低フォスファターゼ症と診断された2歳5カ月の女児の1例を経験した。初診時の全身の発育はやや遅く, 臨床検査でalkarine phosphatase の低下ならびにphosphoethanol-amineの尿中排泄を認めた。歯科学的にはAA/BAABCが脱落しており,残存歯には動揺がみられたが,C|/C|似外の周囲歯肉には発赤,腫脹は認められなかった。X線所見では全身的に異常は認められなかったが,歯槽骨の吸収,歯髄腔の大きな形状が認められた。
    抜去歯及び脱落歯DCB/Cの4噛における組織学的検索では,象牙質で象牙細管の走向の乱れ,osteodentine などの異常が認められた。また, セメント質は, DB に認められたが,非常に非薄であった。他の部位にはセメント質は認められなかった。また,歯根膜線維は鬆粗で脆弱であった。このようなセメント質の部分的欠如ならびに非薄さ,歯根膜線維の脆弱さが乳歯の動揺,脱落の原因と考えられた。
  • 貞森 平樹, 長畠 駿一郎, 高木 慎, 伴 邦晃
    1985 年 23 巻 3 号 p. 716-719
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは外傷により左オトガイ下部から口底部にガラス片が迷入し, 先端が6 遠心部歯肉まで達していた7歳,男児の口底部ガラス片迷入の1例を経験したので報告する。
    顎顔面領域は解剖学的に複雑なX線像を示し,ガラス片がX線写真では明確な像を呈しにくいため, 診断に困難をきたすことが多い。本例は口腔内にガラス片の一部が認められ,咬合法撮影でその大きさを判断することができたので,比較的容易に診断を下し摘出することができた。
    また本例も含めたガラス片迷入22例について若干の検討を行った結果,年齢は20歳台に多く, 性別に差異はみられなかった。迷入部位は頬部が多数を占め, 開口障害を主訴とし,受傷後約3カ月以内に受診していたものが多かった。
  • 高木 慎, 西嶋 克巳, 長畠 駿一郎, 高橋 利近, 貞森 平樹
    1985 年 23 巻 3 号 p. 720-732
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    パピロンーレフェブル症候群は, 掌蹠の過角化症と乳歯あるいは永久歯における歯槽骨の高度の破壊を主症状とするまれな疾患である。
    私達は乳歯列全体にきわめて高度の歯周疾患と掌蹠の角化症を合併したパピロンーレフェブル症候群の1例を経験し,7年11カ月にわたり経過観察することができたので,その概要を報告する。患者は2歳8カ月の女児で,乳歯の動揺および口臭を主訴に来院した。4歳時にはB-BD/B-Bが脱落しており,残存歯も動揺のため咀嚼障害があり抜歯し,義歯を装着した。6歳時6|6/61|6が萌出しはじめ,9歳時には652-256/653-356が萌出していたが10歳7カ月の現在61|6はすでに脱落し,本疾患特有の経過をたどっている。
    さらに本症候群の本邦報告例34例について文献的に考察した。性別では男性:女性17:17で差はなく,平均年齢は10歳5カ月であった。血族結婚は17例にみられた。また合併症として爪の異常が7例にみられた。
  • 鬼塚 一徳, 原田 和已, 渡辺 尚海, 中尾 利夫, 内野 公一, 木村 光孝
    1985 年 23 巻 3 号 p. 733-739
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは, 1 歳6 カ月女児に発現した粘液嚢胞に遭遇し, 全摘出後, 経過観察を行ない,摘出物については神経組織学的検索を行なった。一般組織所見において,嚢胞壁は結合組織の軽度の増殖を伴う肉芽組織であり,導管の破裂ならびに一部に小嚢胞化を呈する所見が認められた。嚢胞内部には,粘液性物質,多数の形質細胞,マクロファージを貯留していた。これらの所見は,本症例がmucous extravasation typeであることを示していた。神経組織所見においては,粘液嚢胞成立との直接的因果関係は見出せなかったものの,変性に陥りながらも今だ好銀性を保っている神経線維が散見された。
    以上の組織所見ならびに臨床所見について文献的考察を行なった結果,本症例の発生原因として,乳前歯の萌出に伴う慢性刺激が推察された。
  • 鍋山 浩司, 曽 一鳴, 中山 康弘, 池上 信行, 西嶋 克巳
    1985 年 23 巻 3 号 p. 740-744
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    われわれは,岡山大学医学部附属病院歯科口腔外科に,昭和46年1月から昭和55年12月までに受診し,舌強直症と診断された小児123例について,臨床統計観察を行い次のような結果を得た。
    1.14歳以下の小児の舌強直症の発現率は1%で,男児対女児の比は,6(75例):4(48例)であった。
    2.年齢別では,0歳から3歳までが多く,以後増齢的に減少傾向を示した。
    3.主訴別では,発音障害が73例60%と最も多い。
    4.癒着程度の分類では,肉眼的に小帯と舌の付着部位が異常であって舌の運動に何らかの障害を認めたものが34例27%と最も多くみられた。
    5.麻酔の種類では,35%に全身麻酔GOFが応用され,3歳以下の処置の70%,2歳以下の処置の90%に全身麻酔GOFを応用した。
    6.併発した主な口腔疾患では,他の口腔内小帯異常がそのほとんどで,Riga-Fede病・口唇裂・口蓋裂がそれぞれ1例みられた。
  • 福田 理, 河田 典雄, 山内 哲哉, 横井 勝美, 黒須 一夫
    1985 年 23 巻 3 号 p. 745-752
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    8 歳5 カ月男児の下顎左側前歯部に発生した集合性歯牙腫で, これに隣接する永久歯胚(|23)の位置異常を来した症例を,歯牙腫摘出後4年10カ月にわたり,その治癒過程と永久歯胚の動きを臨床的に観察した。
    1)歯牙腫は|BC根尖相当部に存在し,X線診査では3-4個の歯牙様構造物としてみられた。
    2)摘出物は小指頭大で大小多数の歯牙様構造物が付着あるいは内包された肉芽様物質と3個の歯牙様構造物であった。これらのソフテックスX線像により20数個の大小不揃いな歯牙様構造物が確認でき,エナメル質,象牙質,歯髄腔が認められた。
    3)摘出後の患部の骨欠損は,X線的には術後8カ月でほぼ健側と同程度まで修復され,骨梁もはっきりと認められた。
    4)歯牙腫によって著しく偏位した|2の歯胚は,歯牙腫摘出後4カ月で近遠心的位置が改善され,上下的位置は術後1年2カ月から1年6カ月で健側とほぼ同じ位置へ移動していた。
    5)歯牙腫により位置異常を呈した永久歯は,萌出誘導処置を行うことなく正常な位置に萌出した。
  • 後藤 譲治, 田口 知義
    1985 年 23 巻 3 号 p. 753-759
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において,乳臼歯部のインレー修復は最も多用される歯冠修復法の一つである。2級インレー修復に際して,仮封材の脱落がおこると乳臼歯部の近心移動を惹起し,インレーの装着が不可能になる場合に遭遇することがある。このような事態を防ぐためには,インレー合着時まで咬合圧等によって容易に脱落することのない仮封材の使用が望まれる。また除去に際しては,容易に除去でき,しかも生活歯に用いて歯髄組織に対して為害作用のない仮封材が望ましい。そこで,窩洞内に歯髄の保護とまた仮封材の除去を容易にする目的で,水酸化カルシウム製剤を用いて,その上からコンポジットレジンを用いるインレー窩洞の新たな仮封法を開発した。そして,60歯の乳臼歯部の2級インレー窩洞に本法を応用し観察を行なった。その結果,60例中1例に仮封材の脱落がみられ,4例に一部破折がみられた。脱落した1例は,仮封期間が142日という長期間のものであった。仮封材の除去に際しては,特に困難はみられなかった。また,歯牙及び歯肉には,臨床的不快症状の発現も全くみられなかった。本法は,乳臼歯部のインレー修復の仮封に用いて有効であり,臨床上応用価値を有する方法と判定された。
  • 渡部 茂, 伊藤 総一郎, 五十嵐 清治, 板本 充志, 原田 尚也, 金澤 正昭, 佐藤 雅寛男, 安河内 太郎
    1985 年 23 巻 3 号 p. 760-768
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    血友病A患者に対する出血対策には,一般に第VIII因子濃縮製剤輸注のもと,第VIII因子定量を併用した患者管理が行なわれている。今回我々は本学小児歯科外来を紹介された血友病A患者2名の歯科治療を行うに際し,第VIII因子濃縮製剤Conco-eightに対する輸注試験を行い,APTT,TEGの値から第NIII因子量の推定を試み以下の知見を得た。1)輸注試験の結果,第VIII因子量の反応は良好で,またAPTT,TEG(r+k)僅は第VIII因子量の増減に伴って変化を示した。2)APTT活性値と第VIII因子量の相関は高く,両症例とも危険率0.1%で正の相関を示した。またTEG(r+k)値も同様に危険率0.1%で負の相関を示した。3)症例間に多少の変動が認められたことから,APTT活性値,TEG(r+k)値より直ちに第VIII因子量を推定することは難しいと思われた。しかし,APTT活性値の正常値下限(70%),およびTEG(r+k)値の正常値下限(18分)に相当する第VIII因子量を検討した結果,前者は約30%,後者は約20%の値を示し,出血に影響のない第VIII因子レベルをベットサイドにて迅速に把握する1つの手段として,APTT,TEGは有用性の高いことが示唆された。
  • 1985 年 23 巻 3 号 p. 769-858
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 23 巻 3 号 p. 861-
    発行日: 1985年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
feedback
Top