小児歯科学雑誌
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全身麻酔下における小児の歯科治療-20年間の経験-
橋本 吉明宮新 美智世石川 雅章小野 博志
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1985 年 23 巻 4 号 p. 874-884

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抄録

東京医科歯科大学小児歯科外来を訪れ,昭和38年より58年までの20年間に全身麻酔下に歯科治療を行った症例について調査し,症例内容の年次推移について検討した。調査対象は男児837例,女児574例の計1,411例であった。
年間の症例数は,昭和44年から47年に約100例あったのをピークとし,その後減少し57年と58年には30例足らずとなった。症例の年齢についてみると,昭和48年以降で6歳以上の小児の割合が増加し,年次的に高くなる傾向が認められた。また,障害児の割合も昭和48年以降に増加し,52年以降ではほとんどの症例が障害児となった。
1症例当りの処置歯数は,10-13歯と20年間を通じて大きな変動はなかったが,昭和48年以降に乳歯の値の減少と永久歯の値の増加がみられた。処置内容では,1症例当りの抜歯数は昭和44年以降に減少し,歯髄処置歯数は52年以降に増加している。一方,修復処置歯数は年次的に増加傾向にあるが,修復処置の内容では,52年以降に乳歯での既製金属冠の使用と永久歯での複合レジン充填が多くなった。
手術時間については,長い症例がしだいに増加しており,昭和52年以降ではほとんどの症例が60分以上を要し,さらに56年以降には120分を越える症例が60%を占めるようになった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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