小児歯科学雑誌
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進行性筋ジストロフィー症患者(Duchenne型)の咀嚼機能評価に基づく歯科健康管理の体系化の検討
森主 宜延松本 晋一塩野 幸一
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1985 年 23 巻 4 号 p. 885-896

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抄録

歯科健康管理の導入過程には,対象となる集団と歯科医とのコンセンサスの確立,相互理解,管理効果とその発展性など多くの重要な課題がある。今回我々は,施設で生活するDuchenne型P.M.D.患者38名,ならびに,そのparamedical staff に対するアンケート調査により患者側の Demands 抽出及び咀嚼を軸とした評価方法や生活因子の分析を行い,歯科医側の Needs と具体的な管理標的の抽出を行った。これにより,次のような歯科健康管理体系化の一端を堤示することができた。
1.Duchenne 型P. M. D.患者の咀嚼障害は,患者,パラメディカルスタッフならびに歯科医にとって管理主題として容易に接触できる問題点であった。
2.咀嚼障害のステップを,健常者段階・日常生活に比較的影響を与えない段階・食生活管理の必要な段階の3つに分類し,各々に個別対応の必要性が示された。
3.実際の患者管理に於ては,患者の自覚を通して咀嚼および咬合障害に対する指導を,少なくとも混合歯列前期から中期までに教育する事の必要性が示された。
4.歯科医ならびにparamedical staff が行うべき課題は,食生活管理の必要な患者では調理の改善時期の判定と具体的調理方法に対しての指示,咀嚼機能の維持は主に前歯部のDento-Alveolar な変化に対する咬合誘導と,咀嚼筋に対する筋訓練の導入が示された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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