小児歯科学雑誌
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重症心身障害者の口腔内所見-病状並びに生活状態との関係-
細矢 由美子松本 史子中村 友美後藤 譲治馬場 輝実子
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1985 年 23 巻 4 号 p. 939-952

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抄録
国立療養所長崎病院重症心身障害者病棟に入院中の4 歳から3 3 歳8 カ月の患者7 3名(脳性麻痺:53名,その他:20名)について口腔診査を行い,患者の病状並びに生活状態との関係を調査した。
(1)患者の全員が齲蝕に罹患しており,def歯率52.2%,1人平均def歯数6.3歯,DMF歯率54.3%,1人平均DMF歯数13.3であった。患者を心身障害度により2群に分けると,障害の程度の低い群が高いDMF歯率を示した。また,食事の形態別では,白米・軟菜群,軟飯・軟菜群及びミキサー群の3群のすべてで,互いにDMF歯率に有意差がみられ,普通食に近い群ほど高い値を示した。食事の摂取方法別には,全介助群が,自立もしくは半介助群より高いdef歯率を示した。
(2)患者の90.4%がブラッシング時に全介助を必要とした。
(3)歯周疾患が患者の52.1%にみられ,PIは,ミキサー群が1番高く,ミキサー群と軟飯・軟菜群間に有意差がみられた。
(4)咬耗が20.8%の者にみられた。
(5)歯列不正が88.4%の者にみられた。
(6)歯牙形成不全が,調査が行えた64名中35名(54.7%)にみられ,その内訳は,着色が29名(45.3%),歯牙表面の陥凹形態が14名(21.9%),白斑11名(17.2%),軽度の実質欠損3例(4.7%)であった。何らかの歯牙形成不全が認められた者の57.1%について,歯牙形成不全の部位と歯牙形成不全をおこしうる原因の生じた時期に一致がみられた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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