小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
小児のデンチャープラークに関する研究
岩井 泰介長坂 信夫
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 23 巻 4 号 p. 953-961

詳細
抄録

小児歯科臨床では咬合誘導のために,可撤式保隙装置(義歯型),床装置,FKO装置等を患児に装着することが多く,調整時や定期検診時に装置を診査した場合,床粘膜面にdenture plaqueを認めることがある。成人のdenture plaqueについては多くの検討がなされており,かなりの高頻度でCandidaが検出されたという報告があるが,小児のdenture plaqueについての報告はみあたらない。そこで今回我々は,3歳から18歳までの小児(平均年齢10 歳5 カ月) のdentureplaque よりCandida の検出を試み, 以下の結果を得た。
1)Candidaの検出率は,41.0%であった。
2)菌種は多い順に,Candida albicans A(59.1%),C. albicans B(13.6%),C. Pseudotropicalistropical(4.5%),C.tropicalis (2.3%),C.guilliermondii(2.3%),C.glabrata(2.3%),C.Parakrusei(2.3%)が検出された。
3)被験者の年齢が増せば,Candidaの検出率が増加する関係がみられた。
4)装置の装着期間12カ月未満に比べ,12カ月以上のものが有意に高い検出率を示した。
5)被験者の性別,装置の部位,材質,装着時間,手入れ状態においては有意差はなかった。
6)denture plaqueの付着度とcolony数との間に高い相関があった。しかし,dentureplaqueの付着度と床下粘膜の発赤,colony数と床下粘膜の発赤との間には相関はなかった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top