小児歯科学雑誌
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予防填塞法に関する研究
歯面清掃法の違いによるエッチング効果と小窩裂溝清掃法
金児 晴夫今井 康仁宮沢 裕夫今西 孝博赤羽 章司
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1986 年 24 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

シーラントは,齲蝕予防体系の一つとして実施されているが,実際の臨床において填塞材の破折,脱落を経験することが少なくない。予後不良となる原因の大半は,歯面・小窩裂溝部の清掃不良と,填塞時の操作ミスにあると考えられる。そこで著者らは,ヒト抜去歯を裂溝清掃用チップと歯面清掃研磨器にて清掃を行い,シーラントの接着に関する諸因子の内の,歯面の清掃状態,小窩裂溝内容物の除去効果,清掃状態の差によるエッチング効果について,SEMにて観察を行った。その結果,次のような知見を得た。
1.歯面清掃研磨器による歯面清掃では,有機性付着物が除去され,エナメル質小柱末端が露出することが認められた。小窩裂溝内部では,比較的柔軟と思われる付着物は,おおむね除去されていたが,石灰化が進行していると思われる内容物に対しては,必ずしも十分ではなかった。
2.裂溝清掃用チップによる小窩裂溝内の清掃では,チップがとどいた範囲において内容物は,完全に除去されるばかりでなく,裂溝壁が一層開削されて新鮮エナメル質が露出することが認められた。
3.シーラント・レプリカ面の観察結果から,エナメル質表面に有機性付着物が残遺していた場合には,十分なエッチング効果は期待できないように思われた。しかし,裂溝清掃用チップを使用した場合には,裂溝壁に対してもすぐれたエッチング効果が得られていた。

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