小児歯科学雑誌
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2兄弟に発症したCoffin-Lowry症候群
小口 春久及川 清
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1986 年 24 巻 1 号 p. 191-199

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抄録
Coffin-Lowry症候群は,伴性遺伝型を示すといわれており,極めて稀な疾患である。表現型としては,臨床的に精神および運動発達遅延,筋緊張低下,胸郭・脊椎の異常,特徴的な顔貌などを示すものとして報告されている。
今回報告する症例は,臨床的にCoffin-Lowry症候群と診断された兄弟例について,表現型としての特徴と特に口腔内所見を明らかにするとともに,小児歯科学的診断および治療を実施して以下のような所見を得た。
1.兄弟ともに心身の発育障害は著明であり,粗い顔貌,広く突出した前頭部,両眼間開離,逆ダウン症様傾斜の眼,高い頬骨弓,上向きの鼻孔などが認められ,更には本疾患に特徴的な末節骨遠位端の部分は短小,拡張していて,臨床的には明らかな大鼓ばち様変化が認められた。
2.口腔内所見としては,兄弟ともに小帯の異常,高狭口蓋および舌に深い正中溝が認められた。
3.兄弟ともに上顎中切歯の正中離開および対称性捻転が認められ,特に兄には多数の先天性欠如歯(_??__??_)が認められた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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