小児歯科学雑誌
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乳歯の着色および形成不全などを伴った低出生体重児の1例
中村 純子渡部 茂小西 慶孝石塚 治畑 良明五十嵐 清治梅津 征夫
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1986 年 24 巻 1 号 p. 179-190

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抄録
低出生体重児にみられる歯科的所見,とくに乳歯におよぼす影響としては,周産期の栄養障害,代謝障害,および遷延性新生児黄疸などに起因するエナメル質形成不全,エナメル質減形成,着色歯などが挙げられる。
今回我々は,臼歯部咬合面の形成異常を主訴として来院した4歳1カ月の女児で,乳歯着色,エナメル質形成不全の他,萌出遅延,および著しい全身の発育不良などの所見を呈した出生時体重2,420gの低出生体重児の症例に対して,歯科的検討を行い,以下の結論を得た。
1)全身的,局所的診査の結果,暦齢4歳1カ月に対し,成長発育状態,骨年齢,歯牙年齢は2~3歳と遅れていた。
2)齢着色は〓の歯冠部全部と〓の歯頂側1/3,〓の歯頂側1/2に認めた。
3)エナメル質減形成は〓と左右対称的に認めた。
4)歯冠近遠心幅径,歯列弓長径は平均的であったが,歯列弓幅径は平均値より狭少であった。
5)歯牙着色および形成不全の原因は,重度の新生児黄疸,乳児肝炎によるbilirubinと母親の黄体ホルモンの服用によることが推察された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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