小児歯科学雑誌
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3歳女児における歯周症の一症例
浜田 義彦田中 克峰 正博今井 元次大東 道治稗田 豊治
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1986 年 24 巻 1 号 p. 210-216

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抄録
歯肉の発赤,腫脹,排膿および歯肉退縮を主訴として大阪歯科大学付属病院小児歯科外来に来院した3歳女児を診査した結果つぎのような所見が得られた。
1)特記すべき全身的既往歴および家族歴はなかった。
2)乳前歯部の歯肉は水平的退縮を示し,歯肉ポケットおよび排膿のほか,歯の動揺がみられ,また,エックス線写真像において全乳歯の歯槽骨の水平的吸収が認められた。
3)歯肉組織の生検では,歯肉上皮層における肥厚と固有層における軽度の円形細胞浸潤と毛細血管の拡張がみられた。
4)血液所見では,正常桿状球および正常分葉核の極端な減少がみられた。骨髄所見は正常であるが,貧食殺菌能と末梢好中球の減少が認められた。
5)以上のことから本患児をLazy Leukocyte Syndromeに発現した若年性の歯周症と診断した。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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