小児歯科学雑誌
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歯肉出血を主訴に来院した血小板無力症患児の一症例
細矢 由美子森 剛一後藤 譲治
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1986 年 24 巻 1 号 p. 217-226

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抄録

血小板無力症とは,常染色体劣性遺伝形式をとる先天性血小板機能異常症で,出血傾向として最も多くみられるのは皮下出血と鼻出血である。今回我々は,歯肉出血を主訴に来院した血小板無力症の5歳男児の1症例を経験したので報告する。
患児は5歳4カ月時,下顎右側乳臼歯部歯頸部歯肉より出血し,ボスミンガーゼによる圧迫止血並びに濃縮血小板血漿の輸注によっても止血せず,出血が8日間続いた為来院した。出血部には,歯頸部の適合が極めて不良な既製冠が装着され,同部の歯牙は齲蝕に罹患していた。出血部に装着されていた既製冠を除去したところ,容易に止血が得られた。齲蝕が多く,要抜去歯も存在したので,患児が遠方より来院する事も考慮し,他日小児科に入院し,小児歯科外来で歯髄及び根管処置,歯冠修復及び抜歯を行った。歯科治療は抜歯も含め,トランサミンによるコントロール下で行った。抜歯は局所的処置に重点を置いて行い,血小板の輸注は行わなかった。抜歯部位には定期診査時に,下顎には床型保隙装置を装着したが,上顎では抜歯部の空隙に閉鎖がみられた為,可撤式床矯正装置を装着した。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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