小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
同胞に発現したBloom Syndromeの歯科的所見について
田村 康夫笹井 浩司蒲生 健司辻 甫清水 紀子奥田 令以
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 24 巻 1 号 p. 236-245

詳細
抄録

顔面の血管拡張性紅斑, 皮慮の日光過敏性, 原発性侏儒症, 染色体異常を認める典型的なBloom syndromeの兄妹例について歯科的診査を行った結果,以下の所見を得た。
1)兄妹は,初診時それぞれ12歳と10歳で,血縁関係(従兄妹)のある両親より出生したものであった。
2)全身的には,兄は身長および体重とも-3SD~-4SDを,また妹は-1SD~-2SDを示す劣成長児であった。
3)口腔内所見,模型分析およびパノラマX線写真所見では,兄は下顎両側永久歯の先天欠如が認められ,歯の大きさは上下顎とも-1SD~-3SDの矮小歯傾向を示し,また歯列弓および歯槽基底の長径,幅径とも-2SD~-4SDの劣成長を示していた。しかし妹は下顎第一大臼歯の歯冠幅径と歯列弓長径が-1SDを越えていたのみで他はほぼ標準値内にあった。
4)歯の形態については兄妹とも特に異常は認められなかった。
5)セファロ分析所見では,兄妹とも顎顔面の劣成長を認め,特に下顎骨の劣成長が著しかった。
6)Bloom syndromeの顎顔面および口腔に及ぼす影響は兄に強く出現していた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top