小児歯科学雑誌
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心身障害児のブラッシングに関する研究
第1報 ブラッシングと発達段階との関連
小笠原 正桝田 伸二気賀 康彦山本 卓二渡辺 達夫笠原 浩
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1986 年 24 巻 2 号 p. 311-327

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抄録

施設在籍の心身障害児146名について,口腔清掃状況,ブラッシング行動,発達段階などを調査し,次のような結果を得た。
1)ブラッシングは全員に行われていたが,93.2%の者はなんらかの形で,保護者・職員の関与を受けていた。
2)67.8%の者が口腔清掃状態は良好またはおおむね良好と判定された。これは保護者・職員の積極的な関与によるところが大きいと考えられた。
3)ブラッシング行動と各発達分野との間にきわめて高い相関が認められた。最も関連性の強かった発達分野は,精神発達遅滞児と自閉症児では基本的習慣,運動障害+精神発達遅滞児では言語理解であった。
4)精神発達遅滞児と自閉症児では,基本的習慣が3歳6カ月レベル以上の発達を示せぽ,歯ブラシを使え,4歳レベル以上であれば,自立の可能性があると認められた。
5)運動障害+精神発達遅滞児では,言語理解の発達が2歳レベル以上を示せば,ブラッシングを理解でき,3歳6カ月レベル以上であれば,歯ブラシを指示されたところへ届かすことが可能になることが認められた。
6)ブラッシング行動の発達には,一定のレディネスを考慮することが重要であると考えられた。

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