小児歯科学雑誌
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24 巻 , 2 号
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  • 高木 裕三, 三輪 全三, 小野 博志, 佐々木 哲
    1986 年 24 巻 2 号 p. 285-291
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    象牙質形成不全症(Dentinogenesis imperfecta)は特異的に象牙質の形成が障害される遺伝性の疾患である。本疾患の臨床病理学的特徴は多くの報告からかなり明らかにされているが,病因はまだ解明されていない。
    本研究では,新しく開発した象牙質リン蛋白質の染色法を用いて,健常児および4名の象牙質形成不全症の患者から得た抜去乳歯を組織化学的に観察した。その結果,象牙質リン蛋白質は正常乳歯の髄周象牙質に広く分布していることが示され,一方象牙質形成不全症の象牙質では欠乏していることが示された。さらに,本症では象牙質外層部にオウエンの外形線やトームスの顆粒層とは異なるがやはり形成障害部と思われる線条または顆粒層が存在することも示された。
    これらのことから,本疾患ではエナメル上皮細胞により誘導された象牙芽細胞の寿命が著しく短縮され,これらの細胞が死滅した後に歯髄由来の未熟な細胞が象牙質を形成するものと考えられる。
  • 大野 秀夫, 森主 宜延, 住 和代, 小椋 正
    1986 年 24 巻 2 号 p. 292-303
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,思春期の顎関節症に対する医療要望(demands)を探ることを目的とし,10歳から18歳までの男性1095名,女性1103名,計2198名を対象とし,アンケート調査を行った。さらに,同一対象者における臨床的診査に基づいた発症頻度との個別的比較から,自覚の意義の検討を行い,以下の結論を得た。
    1)顎関節症の自覚頻度は,全体で253名(11.5%)であり,男女別では,男性129名(11.8%),女性124名(11.2%)で性差は認められなかった。
    2)同一対象者における臨床的診査に基づいた発症頻度との個別的比較から,顎関節症症状の自覚が成人並に行え,その正確性に問題のない中学生が,予防管理開始年齢として妥当であることが示された。また,指導の鍵症状として,関節雑音が好ましいことが示唆された。
    3)アンケートならびに臨床的診査における頻度,さらに“気になる”の3項目における関連性に基づいた評価から,高校生において,症状を正しく自覚し,その症状を"気になる"と意識している者の頻度は,男性3.4%,女性10.8%であり,女性が男性に比較し高値を示し,性差が認められた。
  • 高木 興氏, 田浦 勝彦, 高橋 紀子, 塩野 幸一, 伊藤 学而
    1986 年 24 巻 2 号 p. 304-310
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯と顎骨の大きさの不調和であるdiscrepancyと歯科疾患との関係を明らかにするために,14~15歳の中学校生徒144名について本研究をおこなった。discrepancyはTweed法による叢生程度を示すArch Length Discrepancy(ALD)と,下顎前歯の傾斜度を示すHead Plate Correction(HPC)の和によって表されるTotal Discrepancy(TD)として定量化した。TDとALDの値に男女間の差は認められず,TDの平均値は-2.70であり,-21.5<TD<16.3の範囲にあった。また,男子のALDの平均値は2.89mmで,女子のそれは2.33mmであった。
    DMFTとTDとの間に有意な相関関係は認められなかった。各種DMFTとALD間では,前歯DMFTとの間に5%以下の危険率で有意な相関があったに過ぎない。
    次に,RussellのP.I.で評価した歯周疾患有病状況とTDとの間については,下顎歯のP.I.値とTD間に弱い負の相関関係r=-0.19(p<0.05)が認められた。しかし,各種P.I.とALD間には,いずれも有意な相関はなかった。
    以上から,本対象者においては,discrepancy以外の要因の影響が齲蝕や歯周疾患の発病にとって大きいと考えられた。
  • 小笠原 正, 桝田 伸二, 気賀 康彦, 山本 卓二, 渡辺 達夫, 笠原 浩
    1986 年 24 巻 2 号 p. 311-327
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    施設在籍の心身障害児146名について,口腔清掃状況,ブラッシング行動,発達段階などを調査し,次のような結果を得た。
    1)ブラッシングは全員に行われていたが,93.2%の者はなんらかの形で,保護者・職員の関与を受けていた。
    2)67.8%の者が口腔清掃状態は良好またはおおむね良好と判定された。これは保護者・職員の積極的な関与によるところが大きいと考えられた。
    3)ブラッシング行動と各発達分野との間にきわめて高い相関が認められた。最も関連性の強かった発達分野は,精神発達遅滞児と自閉症児では基本的習慣,運動障害+精神発達遅滞児では言語理解であった。
    4)精神発達遅滞児と自閉症児では,基本的習慣が3歳6カ月レベル以上の発達を示せぽ,歯ブラシを使え,4歳レベル以上であれば,自立の可能性があると認められた。
    5)運動障害+精神発達遅滞児では,言語理解の発達が2歳レベル以上を示せば,ブラッシングを理解でき,3歳6カ月レベル以上であれば,歯ブラシを指示されたところへ届かすことが可能になることが認められた。
    6)ブラッシング行動の発達には,一定のレディネスを考慮することが重要であると考えられた。
  • 船越 禧征, 嘉ノ海 龍三, 稗田 豊治, 寺延 治, 島田 桂吉
    1986 年 24 巻 2 号 p. 328-334
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    頭蓋内腫瘍中に歯牙が含まれている報告はきわめて稀である。
    本症例は8歳男児で,頭部外傷後の頭部X線単純写真上,頭蓋内に石灰化陰影が認められたため兵庫県立こども病院脳神経外科を受診した。諸検査により頭蓋内奇形腫と診断された。腫瘍摘出術は腫瘍が全摘出不能な位置にあったため行われなかった。処置としては頭蓋内圧亢進症状が出現してきたので,減圧の目的で脳室心耳吻合術(V-P shunt)のみを行った。以後の患児の状態は緩慢な経過をとり,終局的には植物状態となり11歳9カ月で死亡した。
    剖検所見では腫瘍は第III脳室底に附着し,鶏卵大の大きさで重量は約40g,肉眼的に歯牙様硬組織,骨様硬組織などがみられた。
    本腫瘍の病理組織学的所見は多彩な像を呈し,歯牙をはじめ種々の組織を含む充実性組識と大小多数の嚢胞とから構成されていた。
  • 山本 英次, 栢原 千鶴, 木下 孝昭, 加来 弘志, 渡辺 尚海, 木村 光孝
    1986 年 24 巻 2 号 p. 335-343
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    真性乳歯過剰歯の発現頻度は,永久歯過剰歯に比較してきわめて低い。今回,我々は,下顎乳切歯部に現われた真性乳歯過剰歯の1症例に遭遇した.
    患児は1歳6カ月の女児で,1歳6カ月児歯科健康診査のため来院した。家族歴,既往歴,全身所見,口腔外所見に特記すべき事項は認められない.口腔内所見において,下顎右側に乳中切歯に相当すると思われる歯が2歯認められ,歯冠形態は非常に類似していた。近心側にある乳中切歯に若干の異常を認めた。X線所見では,上記2歯の歯冠並びに歯根形態は類似しており,歯髄腔の状態もほぼ同様であった。後継永久中切歯の歯胚は遠心側にある乳中切歯の根尖部付近に存在し,永久歯過剰歯の歯胚は認められなかった。
    真性乳歯過剰歯の判定基準については,先人の報告を参考にまとめ,加えてX線不透過性の度合いによる判定法の重要性を示唆した。
    処置については,わずかな正中偏位のみで歯列不正は認められず口腔清掃状態も良好なことから,経過観察とした。以後,定期検診毎の口腔衛生指導および咬合誘導を考慮した管理が必要と考える。
  • 谷林 潤子, 藤田 晶子, 梅原 みどり, 河野 道子, 増田 典男, 前田 憲昭
    1986 年 24 巻 2 号 p. 344-350
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    食生活において,蔗糖は多種,多様の食品に含まれており,様々な形で摂取されている。多くの食品中に含まれる蔗糖は,自然の形のものは少なく,その大半は甘味を与えるための添加物として含有されている。
    我々が,日常治療の目的で処方するシロップ系薬剤に,添加物として蔗糖が含有されていることは,あまり知られていない。そこで我々は,シロップ系薬剤の甘味成分の添加状態,服用の実態を調査した。
    我々は,使用頻度の高い薬剤13剤に関し,蔗糖がどのような濃度で含有されているかについて調査し,同液体の形状を示すジュース類と比較してみた。また,そのシロップ系薬剤が,実際どのような形で服用されているのか,またいかなる意識の下で服用されているのかについて,服用歴のある小児184名(アンケート対象は母親で,103名)に関し調査し,次のような結果を得た。
    1)大半のシロップ系薬剤の1gあたりに,800mg以上の蔗糖の含有を認めた。
    2)対象とした小児の約88%が,シロップ系薬剤の服用を拒否した経験があり,その半数が,砂糖やジュースと併わせて服用していた。
    3)服用後に,口腔内の清浄を心がけた者が35%であったが,目的は薬の味を消すためである。以上のように,薬剤故に特別な指導もなく,服用されているシロップ系薬剤について,処方時にその服用法についての指導の必要性が認められた。
  • 福島 真弓, 丸田 恭嗣, Ichiro Senba, Kenzi Narutomi, 小椋 正
    1986 年 24 巻 2 号 p. 351-362
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Maple Syrup Urine Diseaseは分枝鎖アミノ酸であるleucine,isoleucineおよびvalineの遺伝的な代謝障害症であり,本邦では歯科領域からの報告は現在までない。
    著者らは,鹿児島大学歯学部附属病院小児歯科外来を訪れた初診時年齢5歳4カ月,Maple Syrup Urine Diseaseを有する女児1名について,口腔領域の診査に基づく歯科的所見を報告する。
    1)歯列模型所見から歯列弓長径および幅径が低値を示した。
    2)齲蝕罹患について,歯質の面からも食事環境,口腔清掃状態の問題によって,一般健常児以上に重症化されていることが示唆された。
    3)歯科的対応については,全身状態がコントロールされていれば健常児と同様に対応できるように思われた。
  • 篠田 圭司, 蒲生 健司, 祖父江 英侍, 生野 伸一, 小泉 達哉, 藤居 明範, 辻 甫, 田村 康夫, 前田 光宣
    1986 年 24 巻 2 号 p. 363-368
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    エナメル上皮腫は20~30歳代に好発する歯原性腫瘍で,10歳未満の小児や50歳以上の高齢者にはまれな疾患である。
    今回著者らは5歳2カ月の幼児(男子)でエナメル上皮腫と診断された症例に遭遇した。
    初診時,口腔内所見ではDE部頬側歯肉に弾性硬,拇指頭大の膨隆が見られ,圧痛,DEに軽度の打診痛が認められた。X線所見では,DEの根尖部に4の歯胚を含む拇指頭大の境界明瞭な円形のX線透過像が認められ含歯性嚢胞と診断した。
    しかし,摘出後の病理組織学的検査の結果,嚢胞壁の結合組織内にSerresの遺残上皮と思われる歯原上皮の増殖や上皮層の肥厚,結合組織内への貫入などの所見が得られ,嚢胞性エナメル上皮腫と診断された。
    本症例のように,単胞性で含歯性の場合,含歯性嚢胞とエナメル上皮腫を鑑別するには,臨床所見のみでは非常に困難な場合が多く,それらの診断に病理組織学的検査は不可欠であると言える。
  • 清水 桂子, 千葉 秀樹, 真柳 秀昭, 神山 紀久男
    1986 年 24 巻 2 号 p. 369-377
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和52年3月より昭和59年12月までの間に本学小児歯科外来を訪れ,Vitapexにより根管充填の行なわれた225歯のうち交換あるいは抜去に至った抜髄歯21,感染根管治療歯67,計88歯について根管充填後の経過を臨床的ならびにX線的に観察した。観察期間は7カ月から6年3カ月までであった。根管充填後に問題が生ずることなく永久歯と交換した歯は69歯であった。不快事項が発現し抜去に至ったものは19例あり,その内訳は不適切な修復乃至は修復物脱落による根管内汚染が12例,膿瘍形成が6例,後継永久歯の異所萌出が1例であった。
    根管治療の成功率は前歯の抜髄例で80%,感染根管治療例で73.6%,臼歯の抜髄例で81.8%,感染根管治療例で79.1%であった。比較的よい経過をたどった症例は,X線写真所見で根分岐部のX線透過像,根の吸収がともに小さいか,根分岐部にX線透過像があっても根の吸収がないか,あるいは根の吸収があっても根分岐部のX線透過像がないものであった。
    後継永久歯に形成不全(Turner歯)がみられたのは永久歯が萌出した68例中8例であった。いずれも乳歯が感染根管治療歯で,根管充填時の永久歯胚形成がNollaの分類で3以下であった。永久歯の萌出年齢に関しては,対象歯と対側同名健全歯との間に大きな差は認められなかった。
  • 楠元 正一郎, 坂口 繁夫, 中村 俊雄, 岩寺 環司, 佐藤 和夫, 高田 泰, 渡部 茂, 五十嵐 清治
    1986 年 24 巻 2 号 p. 378-387
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本学小児歯科外来を訪ずれた初診患者の5年間の実態調査を行った結果,次のような結論を得た。
    1)外来診療が開始された昭和54年4月より昭和59年3月までの5年間に来院した患児は,男児563名,女児552名,計1115名であった。
    2)来院患者の年齢分布は,3歳児が最も多く,2~5歳が全体の54.2%を占めた。
    3)来院患者の主訴別分類では,齲蝕治療を主訴とする者が全体の80.1%と最も多かった。しかし,最近では齲蝕治療を主訴として来院する者は減少傾向にあり,逆に検診,予防処置,ならびに歯並び等の相談と処置を主訴として来院する者が増加する傾向にあった。
    4)ブラッシング状況,ならびに間食(おやつ)の摂取回数などの調査結果では,1日にブラッシングを3回以上行う者が8.4%と少なく,また間食回数では,1日4回以上の者が3.3%を示し,両者の結果より,今後毎食後のブラッシング,ならびに間食についての管理と指導を徹底させる必要性のあることが示唆された。
    以上のことより,受診年齢が低年齢化傾向を示し,検診,予防処置を主訴として来院する者が増加する傾向にあるところから,今後は小児歯科的な患者のニーズを把握し,デンタルディマンドを満たすための歯科医療体制の整備,充実が必要であろう。
  • 坂口 繁夫, 楠元 正一郎, 森山 文子, 上田 豊, 浅香 めぐみ, 伊藤 総一郎, 渡部 茂, 五十嵐 清治
    1986 年 24 巻 2 号 p. 388-397
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和54年4月から昭和59年3月までの5年間に当科に来院した患者で,当科の治療システムのレールに乗った健常児716名(男児357名,女児359名)の初診時の年齢分布,齲蝕罹患状態,治療計画に従った治療内容等について集計分析したところ,次の結果を得た。
    1)受診時の平均年齢は5歳1カ月で,3歳児が132名18.4%と最も大きな割合を占め,2歳から5歳児の占める割合は58.8%であった。
    2)df歯率では,全ての歯種において昭和56年度歯科疾患実態調査値を上回った。特に罹患率が低いと言われている下顎乳前歯部においても,昭和56年度歯科疾患実態調査値の2~3倍の高率を示した。
    3)第1大臼歯の齲蝕罹患率は隣接する乳臼歯と同様の罹患傾向を示した。
    4)レジン修復,断髄処置は年々増加しているのに対し,アマルガム修復,インレー修復,乳歯冠,感染根管処置は反対に減少する傾向にあった。
    5)年度別による乳歯の歯髄処置では昭和54年度は断髄処置が47.7%,感染根管処置は45.5%とほぼ同程度であったが,その後は断髄処置は経年的に増加する傾向を示し,感染根管処置は激減した。なお乳歯の断髄処置は大部分がFC法であった。
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