1986 年 24 巻 2 号 p. 378-387
本学小児歯科外来を訪ずれた初診患者の5年間の実態調査を行った結果,次のような結論を得た。
1)外来診療が開始された昭和54年4月より昭和59年3月までの5年間に来院した患児は,男児563名,女児552名,計1115名であった。
2)来院患者の年齢分布は,3歳児が最も多く,2~5歳が全体の54.2%を占めた。
3)来院患者の主訴別分類では,齲蝕治療を主訴とする者が全体の80.1%と最も多かった。しかし,最近では齲蝕治療を主訴として来院する者は減少傾向にあり,逆に検診,予防処置,ならびに歯並び等の相談と処置を主訴として来院する者が増加する傾向にあった。
4)ブラッシング状況,ならびに間食(おやつ)の摂取回数などの調査結果では,1日にブラッシングを3回以上行う者が8.4%と少なく,また間食回数では,1日4回以上の者が3.3%を示し,両者の結果より,今後毎食後のブラッシング,ならびに間食についての管理と指導を徹底させる必要性のあることが示唆された。
以上のことより,受診年齢が低年齢化傾向を示し,検診,予防処置を主訴として来院する者が増加する傾向にあるところから,今後は小児歯科的な患者のニーズを把握し,デンタルディマンドを満たすための歯科医療体制の整備,充実が必要であろう。