小児歯科学雑誌
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有限要素法による乳歯修復時の歯質内部の応力解析
1.咬合面窩洞の幅径および深度の影響
嘉藤 幹夫河原 茂近森 槇子渡辺 道雄宮崎 健稗田 豊治
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1986 年 24 巻 3 号 p. 438-449

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抄録
乳歯修復時における窩洞の設計,すなわち,その幅径や深度が修復物の脱離,破損および歯質の破折や歯髄への疼痛にも大きな影響を与えることに着目し,有限要素法により,歯質および修復物内の変位や応力を解析検討した。
乳歯の二次元有限要素モデルは,下顎第二乳臼歯の歯冠部頬舌的断面を基準とし,窩洞は咬合面1級窩洞で,コンポジットレジン(以下レジンと略す),銀錫アマルガム(以下アマルガムと略す)および金合金インレー(以下インレーと略す)の各修復材料を通法に従って充填したものとし,変位図および応力図を作図させ,さらに節点の変位量と主要なareaでの相当応力について比較検討した結果,修復物周囲の変位は,窩洞が深くなるほど,また,窩洞の幅が広くなるほど変位量は低くなり,インレーが最もその変化が少ないことを認めた。歯髄腔の変位は,レジンとアマルガムで窩洞が深くなるほど変位量が高くなるが,インレーは,逆に低くなることを認めた。修復物内の応力は,修復物内に集中し,歯質内の応力はむしろ低くなることを認めた。修復物直下の応力は,レジンやアマルガムでは,応力が高くなるが,インレーは,逆に低くなることを認めた。さらに歯髄内の応力は,かなり低いことを認めた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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