小児歯科学雑誌
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外傷を受けた幼若永久歯の予後に関する研究
水酸化カルシウム系糊剤によるapexificationについて-
宮新 美智世石川 雅章
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1986 年 24 巻 3 号 p. 459-467

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抄録
根未完成永久歯が外傷を受けることにより歯髄炎や歯髄壊死などをきたし,抜髄もしくは感染根管治療を要するに至った場合,根管充填に先立ち水酸化カルシウム系糊剤によるapexificationか行われる。このような歯のうち上顎中切歯56歯について,平均3年8カ月の経過観察を行った。
1)水酸化カルシウムー蒸留水糊剤を22歯に,水酸化カルシウムーCMCP糊剤を16歯に充填し, それぞれ3~4カ月ごとに糊剤を交換したところ, 3 年1 カ月までに水酸化カルシウムーCMCP糊剤を充填した1歯をのぞいて根尖部閉鎖が認められた。また,根尖部閉鎖には,抜髄・感染根管治療開始時の被験歯の根尖孔開大程度や,抜髄根管と感染根管との相違による影響がうかがわれた。
2)“VITAPEX”を充填した18歯においては,平均2年9カ月後に同剤を除去したが,X線写真上で根尖部閉鎖がうかかわれる歯でもファイルによる触診で根尖部閉鎖を認めえたのは4歯のみであった。さらに除去時までに“VITAPEX”のX線造影性の一部消失がみられ,また,除去された同剤には軟化や着色が認められた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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