抄録
歯科臨床において笑気吸入鎮静法を用いた際の患者の鎮静徴候を,ポリグラフとして記録し,かつ定量的分析を試みる事を目的とし,その臨床応用前に,8人の健康成人男子を対象として30%笑気70%酸素ガスを吸入させ予備的に分析,検討した。今回は脳波,眼球運動,筋電図,呼吸曲線の4指標について行った。その結果は以下の通りであった。
1)脳波は前頭部から導出し,フーリエ変換によりパワーの百分率として分析した。笑気吸入9分内に一過性に有意な変動を認めた。
2)眼球運動は水平方向の運動を導出し,その出現個数を算出した。笑気吸入3分から9分にかけ,また,25分から30分にかけ有意に減少した。
3)筋電図は,オトガイ筋電図を用い積分値として評価した。笑気吸入10分以降は安定していた。
4)呼吸曲線は,呼吸数として算出した。笑気吸入中は,比較的安定していた。