小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
小児の歯科診療時の協力性に関する研究
第1報 歯科受診時の小児の行動と情緒安定度
西野 瑞穂有田 憲司原田 桂子岡本 多恵中川 弘アルバラード グァダルーペ佐々木 保行鈴木 敏昭
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 25 巻 1 号 p. 100-108

詳細
抄録
歯科診療室における幼小児の心理的しくみについての科学的実証的研究の第1報として,待合室から治療後退室までの各場面における小児の態度,小児およびその母親の性格と小児の診療室における行動との相関性,治療内容による小児の不快反応の生起率について観察・調査し,分析した。小児とその母の性格検査,待合室から治療後退室までの小児の行動観察は3歳から8歳までの男児7名,女児13名,計20名について調査分析し,治療時の治療内容による不快反応の生起率は3歳から8歳までの男児9名,女児17名,計26名についての観察記録を調査分析した。
得られた結果は次のとおりであった。(1) 小児の年齢が低いほど保護者への依存度が大きかった。(2)太郎・花子テストによる小児の性格は治療の適応度と相関せず,小児の年齢,性別,祖父母同居の有無,同胞の有無,YG性格検査による母の性格も治療の適応度とは相関しなかった。(3)太郎・花子テストは検査法として不適当であることがわかった。(4)待合室,受付での付き添い依存度,情緒安定度は治療中の様子とは相関せず,治療開始直前の治療台上での医師との応答が治療中の耐忍度と高い相関性を有していた。(5)浸潤麻酔,歯髄処置,電気エンジンによる切削などは高い不快反応生起率を示し,ブラッシング,表面麻酔,口腔内診査などは低い不快反応生起率を示した。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top