小児歯科学雑誌
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小児の歯科診療時の協力性に関する研究
第2報 母親の特性不安と小児の性格との相関性
金城 聡子前田 桂子加藤 邦子菊地 賢司西野 瑞穂
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1987 年 25 巻 1 号 p. 109-118

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抄録
小児の歯科診療時の協力性に影響する要因を検索するための基礎的研究として,母親の性格特性としての不安傾向と小児の性格との間の相関性について調べた。調査対象は徳島大学歯学部附属病院小児歯科を受診した1歳から13歳までの小児70名とその母親70名である。母親の不安の測定は状態・特性不安インベントリー( State-Trait Anxiety Inven-tory,STAI)を用いて行い,小児の性格検査は高木坂本幼児・児童性格診断検査を用いて行った。結果は次のとおりであった。(1)3~6歳の低年齢児群では7~12歳の高年齢児群に比べて,「神経質」,「情緒不安定」,「学校・幼稚園への不適応」を示し,高年齢児群は低年齢児群に比べて「顕示性」が大きかった。(2)祖父母の同居と小児の「依存性」,出生時の父親の年齢と小児の「自制力」,「個人的安定」の間に相関性がみられた。(3)母親の特性不安と小児の「神経質」,「依存性」,「退行傾向」との間に相関がみられ,母親の特性不安の大きい小児については,初診からしばらくの間,特に不安の解消と自主性の向上に努め,社会性を養い,診療に対する協力性を向上させることが大切であることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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