抄録
非接触型顎運動解析装置(サホンビジトレーナCII)を用いて乳歯列期小児の咀嚼運動路の再現性について検討を行った。
被検児には顎口腔機能及び形態的にも異常を認めない乳歯列を有する小児4名(3歳11カ月~5歳3カ月)を用いた。
計測はチューインガム咀嚼時の前額面投影を一週間間隔で3回にわたって行った。
計測項目は習慣性咀嚼側及び反対側での下顎移動距離,側方偏位角度,さらに習慣側の咀嚼パターンをあらかじめ5タイプに分類し,同一被検児でそれぞれの出現頻度の観察を行った。
その結果,開口量,側方移動量,側方偏位角については個人差が認められたが,すべての被検児で日間変動は小さく,再現性が認められた。
側方移動量,側方偏位角については左右差が認められた。
咀嚼パターンは3人の被検児に日間変動が認められたが,咀嚼パターン5タイプをさらに“グラインディングタイプ”と“チョッピングタイプ”の2タイプに分類した場合では1人の被検児を除き,日間の大きな変動は認められなかった。
以上の結果より,本装置を乳歯列期小児に応用した場合も再現性が得られ,臨床的な応用も可能であることが示唆された。