小児歯科学雑誌
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若年性歯周炎に罹患した高校生の細菌学的検索
吉田 一惠藤原 卓大嶋 隆祖父江 鎮雄
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1988 年 26 巻 4 号 p. 782-789

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抄録

高校生3603名(男子1305名,女子2298名)を対象として,若年性歯周炎のスクリーニングを行った.一次診査で,男子38名女子22名の計60名(全体に対する割合は,1.7%)に上顎中切歯の動揺があると診断された.この60名を対象として,中切歯と第一大臼歯の合わせて8歯のポケット深さを測定したところ,4mm以上であったものが男子7名女子4名の計11名(0.3%)であった.これら11名のうち5名に対し,全歯牙の精査とデンタルX線診査を行ったところ,1名の女子に上下顎中切歯及び第一大臼歯部における垂直性の歯槽骨吸収を認めた.また家族歴あるいはその他の口腔内所見は,この被検者が若年性歯周炎に罹患していることを示していた.
そこでこの患者の歯肉縁下細菌叢を検索した結果,健常者や歯肉炎患者に比べてBacteroides属などの偏性嫌気性グラム陰性桿菌の割合が多く,Actinobacillus actinomycetemcomitansも1株であるが検出された.この患者に6カ月にわたり歯周治療を行ったところ,症状がやや軽減するとともに,歯肉縁下細菌叢の相対的比率が健常者のそれに近づくことが示された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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