小児歯科学雑誌
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小窩裂溝〓塞材の検討(3)
- 光重合系シーラントの粘度とアプリケーターの形態が〓塞時間と〓塞面積に及ぼす影響について-
矢尾 和彦神原 修下田 豊小西 文子稗田 豊治
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1989 年 27 巻 4 号 p. 831-840

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抄録

シーラントの部分または全部脱落の原因として,小窩裂溝部の清掃,酸処理操作,酸処理歯面の乾燥など準備段階での不備のほかに,対合歯との早期接蝕によるシーラントの破損などが挙げられる。とくに填塞直後のまだ重合率が低い時期における咬合接触はシーラントの物理的性状やエナメル質との接着強度を低下させる危険性があると考えられる。
このためシーラントの填塞範囲を小窩裂溝部の必要最小範囲に限局し,対合歯との早期接触を避けることにより,シーラントの保持率は高くなるものと考えられる。
そこでシーラントを小窩裂溝の最小範囲に填塞する方法に適したシーラントの性状ならびにアプリケーターの形態を知る目的で,粘度の異なる3種類の光重合型シーラントを4種類のアプリケーターを用いて模型歯に填塞して填塞所要時間と填塞面積から,シーラントの操作性について検討した。
その結果,シーラントを小窩裂溝に最小範囲で填塞する場合は,できるだけ流れのよいシーラントを選び,アプリケーターは最小填塞量が少なく,且つノズルの先端が細くて視野の確保が十分にできるものを用いるべきであり,また,臨床に先立ち材料や器具の特性を把握し術式を習熟する必要のあることが判った。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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