小児歯科学雑誌
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幼犬の乳臼歯にアパタイトルートシーラーを用いた根管充填後の予後について
渋井 尚武隅田 百登子鈴木 克政石川 力哉近藤 一男菊池 進
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1989 年 27 巻 4 号 p. 841-853

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抄録

乳歯根には増齢に伴う生理的な歯根吸収が認められるため,根管治療後根管充填するにあたっては永久歯と異なり使用する根管充填剤には様々な制約がある。乳歯用根管充填剤の所要性質のうち最も大切な要件は乳歯根の吸収につれて根管充填剤も同様に吸収消失され,後継永久歯の萌出を妨げないことである。しかし現在市販されている根管充填剤は,根管内で硬化せずに乳歯根よりも早期に消失してしまったり,なかなか吸収せずに交換の遅延をもたらしているもの,さらに根尖周囲組織に対してたえず強度な刺激を与え続けるものなど乳歯根に最適な根管充填剤はみあたらない。
最近,三金工業社よりα-TCP,ハイドロキシアパタイトを応用した生体親和性に優れた根管充填剤が市販され,そのなかでもタイプIIIはヨードホルムが5%と刺激が少なく,操作性もレンツロで根管内に充填できるなど比較的良い製品である。そこで,乳歯の根管充填剤として使用可能か否かを検討するため,幼犬の下顎乳臼歯を用い,抜髄後ただちに根管充填を行なった。その後1週間ごとにX線を撮影して乳歯根の吸収状態,後継永久歯への為害性の有無,萌出過程への影響などについて3症例の経日的変化を観察した結果次のような結論を得た。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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